リメンバー・ネットリテラシー!

第97回 二代目フリーワンライ企画参加作。


使用お題:カムバック平穏な日常 ほうこう(方向) 自堕落 タイムリミットまであと五分

ジャンル:巴市なんか二次臭いノリ

注意事項:だいぶあんぽんたんな話になりました。パラレル世界線。多分。


疾走感だけを追い求めた。考えたら負けです。

本編が遅々として進まないのでこちらでお茶を濁しつつ…。





「カムバァァぁぁぁッックぅ!! おれの平穏な日常ォォォォォ!!」

 畳の上に転がってのたうち回り、頭を掻きむしって叫ぶ下宿人に「コイツだいぶキてるな」と狩野怜路は哀れみの視線を投げた。

「キャラの方向見失うな、頑張れ生きろ」

 雑に励ますと、鬼火を灯したような怨みの視線が這い上る。サダコもビックリの迫力に、怜路が日頃の拝み屋業務で鍛えた強心臓もさすがに大きく収縮した。

「お前……誰のせいだと思ってるんだ?」

 無残にほつれ、頬にかかった長い黒髪を食った美貌の下宿人、宮澤美郷が這い寄ってくる。怖い。

「あー、えー、いやさあ、ちょっとした出来心だったのよ。ウンごめん。サッセン。って言うかミッちゃん美人だからついね? パシャッとね? 平安貴族が美しい物を見るたび和歌をしたためたようにね? 現代人の俺はスマホのカメラでね??」

「勝手に撮るのは百歩譲って許すとしても、それをツイッタに上げたのは一体何なんだっ! 休みに自堕落に惰眠貪ってるトコをネットに晒されてバズった身にもなってみろ!! 今日も出先で言われたし、なんなら市役所歩いてるだけで視線刺さって来るんだよ! 怖いっ。控えめに言って怖いっ!!」

 本人曰くの「自堕落に惰眠を貪っている」様は、傍から見れば大変妖艶で美しかった。

 寝乱れた白い寝巻の合わせから覗く、白く、男にしては細い鎖骨。

 漆黒の絹糸のような長い髪がシーツの上に散らばり、肌蹴たうなじにまとわり付く。

 閉じられた目、長い睫毛、割れた裾から覗く太ももは、どこかまろみを帯びて眩しいほど白い。

 更には、怜路が戸を開けてやってようやく部屋に戻れた白蛇がのそのそと這っていく。

 怜路はそこに「美」を感じたのだ――。

「つって芸術家ぶってりゃ許されると思うなよ、盗撮禁止! 肖像権侵害ダメ絶対!! 殴っていい? ねえ殴っていい??」

 泣きながら拳を握るご乱心下宿人に、この乱痴気騒ぎを知って駆け付けた実弟が許しを出すまで。

 そのタイムリミット、あと五分。

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