鬼ごっこ(三)
はっ、と目を覚ました若竹は文字通り飛び起きた。がさり、と辺りの木の葉が舞う。
見回す周囲は光源も分からぬ、薄ぼんやりとした明かりに照らされて、空は白い闇が蓋をしている。加賀良山の異界に入ったのだ。
「つッ……入り込んだ拍子に転んだのか」
立ち上がって、身体に付いた枯葉やごみを払う。
「このどこかに、克樹様と美郷様が……」
若竹は己の主であり、鳴神家の将来を担う次期当主である克樹をこの山から救い出して帰らねばならない。そのためにはまず、ここへ克樹を呼び寄せ、閉じ込めた元凶を倒す必要がある。
「美郷様……」
鳴神家を恨み、妖魔と成り果てた少年の名を呟く。その気配を探して、若竹は中空を睨んだ。妙に冴えた感覚が敵の居場所を知らせる。
若竹は、美郷の気配を追って歩き始めた。
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