【第二部】冬山の隠れ鬼(完結)


「いーち、にーい、さーん、しーい、…………きゅー、じゅー。もーいーかい?」


「まーだだよー」


 幼い声が遠くで返す。二人で『隠れんぼ鬼ごっこ』をするときは、必ず年長の自分が「鬼」だった。


「じゅーいち、じゅーに、じゅーさん…………もーいいかーい?」


「……――まーだだよォ……」


「鬼」となった自分を置き去りにして、鬼ごっこは始まる気配を見せない。

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