さらりと書かれた冒頭の一節で、主人公と先輩との関係性からこのお話の主題まで想起させ、読者を引き込む手腕がお見事。文章表現も簡潔でいて的確、心地よい抑揚で、行間を深読みしたくなる世界観が生まれています。
失恋に傷付いた女性が、鬱屈とした表情で食べる思い出のレモンパイ。女性の傷付いた心と、給仕の青年の行動に、心震えました。