第7話 一曲って言ったじゃん


 何を演ろうか。

 まずは覚えるべきコードが少ない曲を探す。


 いきなり曲を練習するのかって?

 それはそうだ。僕の目的は弾き語りであって、誰かとセッションしようなどと、この時は思ってもいない。


 ストロークの練習とか、スリーコードとかやらないのかって?

 それだけやったって面白くないし、そんな地味で単純作業の繰り返し、得意だけど嫌いだし。

 楽しくなくっちゃ。

 ストロークやら何やらは、どうせ曲を練習しようと思ったら同じことだし、それなら弾きながら唄う練習もいっぺんにやっちゃえばいいのだ。


 そんなわけで選曲、選曲。


 はい、決まりました。


 課題曲は…


 スピッツ/チェリ

 プリプリ/M

 SCANDAL/HARUKAZE

 相川七瀬/夢見る少女じゃいられない


 あれ?四曲もある。

 そう、四曲選んだのだ。

 チェリで使うコードはC、G、Am、F、Emの五つ。

 Mはちょっと多くてC、C7、G、Am、F、Em7、E7、Dm7、F#dim、前奏も頑張るならD#dimも。だがしかし、チェリで五つ覚えていれば新たなコードは六つだ。

 この2曲はローコードで練習しようと思う。


 HARUKAZEで使うコードはE、B、A、C#m、G#mの五つで唄える。

 夢見る~はHARUKAZEにDを足せばいい。

 この2曲はハイコードで練習する。


 いきなり多いって?

 いやいや、そんなことないって。

 だって同じ曲だけやってたら飽きちゃうもの。

 まだ人に聴かせるわけでもないし、自分が楽しければいいのだ。


 曲も決まったところで、早速ノートに歌詞とコードを書き写し、更には使うコードのダイアグラム(どこを押さえればいいか)をリスト化して、見やすくしておく。

 ついでに、そのコードで押さえていい場所を全部リストアップして、なんとなくペンタトニックなるものを齧る。

 更に初めて聞く言葉がったので調べるのだ。

 セブンスはわかる。要はブルースコードっしょ(雑)。

 問題はdimってやつだ。なんじゃこれ?

 ディミニッシュと読むらしい。理屈はとしては1度・3度・5度のメジャー(無印)コードに対して、1度・♭3度・♭5度の和音ってことらしい。かなり不穏な響きがする。

 だから何だというんだ…わからん…ので、押さえ方だけ覚えて理屈はあまり考えないことにする。今は。


 さて四曲の中で一番手強かったのは、当然だがMだ。

 だがまあ、覚えてしまえば唄いやすかったのもMだったりする。


 そして、チェリのコード進行はよく使われるパターンらしく、色々な曲に応用できた。

 応用といえば、夢見る~のコードもかなり使える。SCANDALではよく使っているコードだし、こちらも応用の幅が広い。

 ナイス選曲、自画自賛。


 ここまで云か月、かなり遊べている。季節はもう夏だ。HARUKAZEは来年まで封印しよう。


 などと考えながら、某オークションサイトを徘徊していると…見つけてしまったのだ。




 赤いストラトキャスターを…。

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