第6話 左手の薬指なら空いている
Fを克服した(ことにした)僕は、次の強敵に臨んだ。
まずはCのハイコードポジションだ。
人差し指は5フレットでバレーするも、6弦は指先で触れるだけ。鳴らないように押さえとく感じだ。
ここでも人差し指の肝は付け根側。1弦をしっかり押さえることを意識する。
問題は薬指でのバレーだ。
7フレットの4弦、3弦、2弦をバレーするのだが、1弦は押さえないという鬼畜。
どうするかというと、薬指を仰け反らせて付け根に近いところに隙間を作るのである。
実のところ、無理にバレーで押さえなくても中指、薬指、小指を使えば押さえることはできる。
だがしかし、フレット間は音が高くなるほど狭くなっているし、弦どうしの距離は指が三本並ぶほど広くはない。必然的に斜めに指が並ぶのだが、音が高くなるにつれて収まらなくなっていくのだ。
これは薬指仰け反りバレーを習得しなければ、どちらにしてもハイポジションが辛くなっていくことを意味する。
克服する手段はある。
肉体改造だ。
そうなると短時間で実現できるものではないと判断するしかなく、ローポジションでコードを覚えつつ、肉体改造していくことにする。
幸い左手の薬指なら空いている(深い意味ない…ないったらない)。
まず第二関節を軽く曲げ、その上で第一関節を反らせるストレッチを癖にした。
何かに押し付けて反らせるか、右手で第一関節をサバ折りにするのだ。
体の柔軟性を取り戻せって言われるよりは、指先だけ、しかも一本だけ仰け反るように柔らかくしろっていうほうが、なんぼかマシってもんだ。
そんなわけで、今でも薬指ストレッチは癖になっている。
ローポジションについて多くは語らない。
ちょっとはね、あるけど。
Gがね、辛かったかな…。
もうね、どうやって押さえていいのか悩んだ。
実は押さえ方って人それぞれなところがあって、正式な押さえ方なんていうお行儀のいいものは存在しないんじゃないかと思う。
他のコードもそうだけど、和音としての構成音が決まっていて、その組み合わせになってればOKなわけで。
どの指でどこそこと、どこそこを押さえきゃいけないってわけじゃない。
Gのローポジションでいうと、基本ポジションは6弦3フレット、5弦2フレット、1弦3フレットを押さえればいいのだけれど、どの指で押さえるか悩んでしまう。
10代の頃だったら、最初に見た教本なり資料の押さえ方でまずは覚えちゃうんだろうけど、オッサンの余計な知恵と知識が迷いを生む。
まあ、その迷いが楽しくって仕方ないのだけれど。
単純に僕の手で押さえるのが楽なのは6弦は人差し指、5弦は中指、1弦は薬指なんだけど、次のコードに移ろうとか、前のコードから移ってくるとかすると効率が悪いことに気づく。
もうね、動画サイト観まくり。
コードを弾いているアーティストの映像を探しまくって、ライブシーンとかガン観して、みんなどうしてるんだろうって。
ええ、もう人それぞれだった…。
要するに、自分が押さえやすいように押さえろってこと。
それならば一曲練習してみようじゃないかと、選曲を始めるのだった。
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