第3話

「まさか2日間歩いたら街が見えるなんてね。私ら運がいいわ」

「でも、この距離だと後3日間は歩かないとね。食料もつかしら」

「もつだろ。土産も沢山買ってるんだし」

「安心して楓!もたなかったら僕のをあげるから!」

「はぁ?涼のはいらねーよ。つーか、俺がお前の非常食食ってお前が倒れたら困るしな」

「楓…大好きだ!」

「おいそこ茶番も程々にしろよ。じゃないと、血反吐吐かせるぞ」

「え、ちょ、雛森さん…」

「おっとしつれーい」


お口が滑っちゃった。とふざければあっちゃんから冷めた目で見られてしまった。しかも長谷川さんに引かれちゃうし。悪いのは私じゃなくてホモップルじゃん!


「で、街に着いたらどうするの?」

「まず、適当に何か売ろうかと思ってるの。衣類とか余分に持ってきてるでしょ?」

「この世界には珍しいものもあるかもしれないしね」

「でもま、俺らの荷物を買い取って貰えるかってんのは分かんねーよな」


ホモップルにしては珍しく話を聞いているな。と私とあっちゃんは目を細める。


「そこなのよね…。私達と似たような文化なら問題ないけれど、そうでもないっぽいし」

「まあ、さっき通った商人っぽい人の靴って布で作られてたもんね」

「異端者だって殺される可能性もありそうなのよね。私達よりも文化が遅れているところは、異端者に敏感だし」

「まあ、殺されそうになったらホモップルを囮にすればいいよ。ホモップルだし」

「そうね。ホモップルだものね」


そう言えば、俺たちを囮に使うな!と楓に小突かれてしまった。それを見た涼太が羨ましそうにこっちを見ているし。流石はバカップル。ってかホモップルは一応否定しとけよと思ったんだけど、私が可笑しいの?そうか、私が可笑しいんだな。


「そういえば、まず言語は通じるのかな?誰も言わないから僕言っちゃったんだけど」


あは。と笑いながらそう聞く涼太の頭をあっちゃんが叩いた。


「それは早く言え」

「あっちゃんやい。口調が、いつもの口調じゃないですぜ」

「あらいけない私ったら」


あっちゃんは棒読みでそう言いながらもう一度涼太の頭を叩いた。ホモホモしてるから叩かれるんだ!涼太ざまーみろ!


「楓以外に叩かれてしまった……」

「いやいつもいろんな奴に叩かれてるのに今更何言ってんの?」

「……そうだったっけ?いっけな〜い!涼太ったらうっかりさん☆」

「きっしょ」

「気色悪い」

「うわぁ…」

「今更だろ」


今更だろと言った楓に私とあっちゃんと長谷川さんは数歩距離を置いた。さすがホモップル。さすがバカップル。


「まあホモップルを盾にするという案も出たし、とりま街まで歩き続けますかね!」

「まあそれくらいしか方法もないもんね」

「長谷川さんもすっかりホモップルに慣れてきたわね」

「まあ…うん…その人の趣味だし…」


ふっ。と諦めたように笑う長谷川さんに私らはうんうんと頷いた。今私らの友情は深まったといっても過言ではないだろう。そう考えながら私らはまた諦めたように笑いあった。


「まあウザかったら殴ればいいしね!」

「それな」

「それよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

このパーティは最強です。 能面女 @sax0129

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ