第7話
「あの雌豚私の主に頭をなでてもらうなんて。ああ、私の主に色目を使うなんてなんて汚らわしい。あの雌豚の頭を触ってしまった主の手が汚れてしまいました。どうしましょう?ああ、そうです主の手を私が消毒してさしあげましょう。それにしても私の主に色目を使った雌豚をどうしましょう?処分しなければいけませんよね。斬殺、撲殺、刺殺、欧殺、毒殺、圧殺、溺殺、射殺、焼殺、どれがいいでしょうか?私の主に色目を使ったんですから簡単には死なせられませんよね」
「っひ!」
エルはハイライトの消えた目をリリシアに向ける。そんな目を向けられたリリシアは相当の恐怖を覚えたようで剣を向けられたときより怖がっているようだった。
「こらこら、ちょっと落ち着・・・」
エルを落ち着けようとシュウが手を向けたところエルに手をとられた。
「さあ、主様雌豚に汚された手を綺麗にしましょう。私が綺麗に洗ってあげますから安心してください」
「・・・」
そんなエルに若干ひくと同時にあきれた表情をした。そして、エルを落ち着けるため魔力を手にめぐらすと・・・
「『スパーク』」
そう口にすると手から稲妻が発生した。シュウは魔法を詠唱もスペリングもなしに自分で考えた魔法名だけを口にするだけで魔法を使ったのだ。
「・・・痛いですシュウ様」
「お、落ち着いたか」
エルが落ち着いたと感じたシュウは魔力の供給を止めた。
「失礼いたしました。もう大丈夫です」
「うん。もう大丈夫ですよリリシアさん」
エルが落ち着いたのでシュウはかなり後ろに下がっていたリリシアを呼んだ。
「・・・もう大丈夫なの?」
「はい、エルも落ち着きましたし大丈夫ですよ」
リリシアはシュウの後ろに控えるエルに目を向けると親の敵でも見るような目でリリシアを見ていた。そんなエルに若干の恐怖を覚えながらシュウがいるので大丈夫だろうと判断したリリシアは話を続けることにした。
「・・・それで王様に会ってもらえるってことでいいのね?」
「はい、問題ないですよ」
「ありがとう。それじゃあ、少し王城に行って王様に確認してくるから少し待っていてもらえないかしら」
シュウはその言葉に頷くとリリシアは図書館を出て行った。
「あの雌豚この国ではかなり権限をもっているようですね」
「女の子がそんな言葉を使っちゃいけません。・・・ふあっ」
シュウはエルにそう言うとあくびをした。
「おつかれでしたらお眠りになりますか?」
「・・・うん。リリシアさんが返ってきた起こして」
「では、こちらにどうぞ」
エルは床に腰を下ろすと自分の膝を進めてきた。シュウは促されるままエルの膝に頭を置き目を閉じた。
「おやすみなさい、我が主様」
エルは膝に置かれたシュウの頭をやさしく撫で、シュウはそのやさしい手つきに安心しすぐに眠りについた。
~~~~
「やはりあなたはアレイシア様に似ています」
膝で寝るシュウを撫でながら昔を懐かしむ表情をしている。
「顔も性格も、もっといえば性別すらちがうあなたですが魂が瓜二つです。・・・アレイシア様申し訳ありません、あなたとの約束守れませんでした」
エルは今はもう存在しない前の主アレイシアに対し
――大丈夫よエル。逆にごめんなさい迎えにいけなくて。だから気にしないで
そのような声がエルに聞こえそれと同時にエルは後ろから誰かに抱きしめられる感覚がした。それは懐かしさを覚える声と暖かさだった。
「・・・ありがとうございます」
エルはその声に涙ながらに返した。
~~~~
「ただいま、確認が取れたから王城に行きましょう」
リリシアが帰ってくるとそう言った。シュウはその声に目を覚ました。
「・・・っん。わかりました~」
寝ぼけ眼でシュウは返事した。
「あ、その前にエル、その羽どうにかならない?」
王城に行こうと歩き出そうとしたシュウはあることに気づいた。それはエルの羽が目立つのではないかということだった。
「では、消しましょう」
エルはそういうとエルの背中に生えていた翼がスーっと消えていった。
「これで大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫だけど体に異常はないの?」
「少し背中に圧迫感がありますが大丈夫です」
「そっか、なら行こっか」
そして、シュウたちは王城に向かうため図書館を出た。
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