第8話
「ここが王城よ」
シュウたちは図書館を出て少し歩いていくと大きな門の前に止まった。門の前には二人門番がいた。
「リリシア様そちらが?」
「ええ、そうよ。開けてくれるかしら」
「わかりました」
リリシアと門番が軽く言葉を交わし門番が門を開けた。
「それじゃ行きましょうか」
リリシアを先頭にシュウ達は王城の中に入っていった。
「お~、これが王城か」
王城の中に入ったシュウは声をあげた。だが、なんというかシュウは
「
「なるほど。いい心がけですね」
それを聞いたシュウは初代国王の考えに賛同した。だがこれは意見が分かれるだろう。初代国王が言うように国民の税をそのようなことに使うのはよくないだろうが国の象徴でもある城を質素にしすぎるのは『この国にはそんなにお金がないのか?』と国民に思われ不安にさせる可能性もある。だが、逆に豪華すぎるのと『俺達の税で贅沢しやがって』っと思われる可能性もある。なので、質素さを漂わせるが城という威圧感を漂わせているこの城はいいとシュウは感じた。
そんなことを感じつつシュウたちは歩いているとひときわ大きな扉の前でリリシアが立ち止まった。
「ここよ。ここは謁見の間だから陛下のほかに貴族達もいるのだけど大丈夫かしら?」
「大丈夫ですよ」
リリシアは国王に会ってくれと自分が言ったがその他にも人がいるということでシュウに確認を取ってきた。それに対してシュウは了承した。
「ありがとう。それじゃ入るわね」
リリシアが扉に手をかけ扉を開けた。リリシアは大きいのでかなりの重さがあるとみられる扉を何の苦もなく扉をかけた。これはリリシアに力があるのか扉に細工されているのかどちらなのだろう?
ギギィという音とともに開かれた扉の奥には王座に座る男性と王座までの道の脇に二、三十人ほど人がいた。王座に座る男性が国王でその周りにいる人たちは貴族たちだろう。リリシアは国王の前まで行き
「陛下、先程説明した者をつれて参りました」
「・・・ご苦労であったのだがその者は後ろでなにやらしておるぞ」
リリシアは国王の言葉にばっと後ろを見た。
「この扉どうなってるんだろう?ぜんぜん力いらない」
「おそらく扉の重さを軽減する魔術が
シュウとエルは謁見の間の扉が気になるようで扉を開いたり閉じたりしていた。その様子を見たリリシアは慌ててシュウ達の元に走った。
「ちょ、ちょっとシュウくん!何してるの早く来て!」
「は~い」
リリシアが少し怒った感じで言ってきたのでシュウはリリシアについていった。そして、国王の前にシュウをつれてきたリリシアは再び跪いた。
「陛下こちらが先程説明した天使を召喚した者です」
「初めまして、天使を召喚したシュウです」
右手を軽く上げそう挨拶すると周りがざわついた。リリシアはもう遠い目をしてシュウを見ていた。国王はざわつきを静めるため手を上げた。すると貴族達は静かになった。
「はっはっは、俺はアレクセン=フォード=リセイブドルだ。シュウ、よろしく頼む」
「はい。よろしくおねがいします」
アレクセンは王座から立ち上がりシュウの方に歩いてきて握手を求めてきた。シュウはその手をとって握手した。貴族達はアレクセンの行為に驚いていた。
「さて、そろそろ呼び出した理由を話そうか。シュウよ、お前を呼び出した理由はお前が召喚した天使についてもあるがそれより天使様に頼みがある」
アレクセンはそういいエルのほうを向いて。
「天使様頼む。どうか娘を助けてくれ」
アレクセンが頭を下げると貴族達も頭を下げた。
「様はいりません。それと私はガブリエルと申します。まずは頭をお上げください」
エルはアレクセンと貴族達の態度に驚いた表情をしつつ頭を上げるよう促した。
「すまない。それでどうか娘を助けてはくれないだろうか?」
「ふむ、まず何をどう助けるか説明していただけないことには返答できません」
「そうだな。俺の娘リリアが半年ほど前から体調を崩していてな、ここ最近さらに酷くなっていて王宮の医師に見せても原因がわからずこのままでは死んでしまうかもしれないんだ」
アレクセンの悲痛そうな顔をしながら話した。アレクセンは天使の力を持ってすれば娘の病気も治せるのではないかと考えエルにお願いしているのだろう。
「なるほど。一度容態を見てみないとわかりませんが・・・シュウ様いかがいたしましょう?」
エルはアレクセンの頼みを受けてもいいと思っているのだが自分の主の判断が一番なので主であるシュウに確認を取ろうとしたのだが、
「zzz」
シュウは立ったまま寝ていた。エルは寝ているシュウを見てほころんでいるがアレクセンたちは呆然としていた。結構シリアスな雰囲気を出していたのにシュウは寝いていた。
「シュウ様起きてください」
「・・・ん。ああ、起きてる起きてる」
「アレクセン様の依頼をお受けしても大丈夫ですか?」
「ああ、エルの好きなようにしていいよ」
「わかりました」
シュウの了承を得たエルはアレクセンに向き直り。
「アレクセン様、一度リリア様の容態を見ないとなんともいえませんが微力ながらお力添えしましょう」
「すまない、ガブリエル殿」
エルが協力することを言うとアレクセンはもう一度頭を下げた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます