第5話

「ん?この本は・・・」


 シュウが2冊目の本を読み終わり次の本を取り読もうとするとあることに気がついた。


「・・・日本語じゃないな」


 そう、この本は日本語で書かれていないのである。前の2冊は日本語で書かれていたのだが、この本は日本語でかかれていないのでシュウは読めないと思っていたのだが・・・。


「でも、読める。何でだろう?」


 日本語ではない言語がなぜ読めるのか不思議がっているとあることに気がついた。


「あ、そっか。言語系のスキルか」


 シュウはとったスキルの中のどれかの言語なのではないかと気が付いた。だが、どの言語かまではわからなかった。


「・・・『魔法について』?これ物語じゃないな。けど、魔法か~。おもしろそうだな」


 本の表紙に書かれていた題名を見たシュウはこの本がストーリー系の本ではないとわかった。だが、ファンタジーの産物でしかない魔法がこの世界にはあるのではないかと思ったシュウは興味がいたので読んでみることにした。


「『魔法、それは世のことわりすら凌駕りょうがする術である。使い方次第で世界を崩壊させられるだろう』・・・しょっぱなからすごいこと書かれてるな」


 冒頭に書かれていることに若干ひきながら読み進めていった。


~~~~


「・・・ふう。魔法っておもしろそうだな」


 読み終わったシュウは本を置き伸びをしつつそうつぶやいた。なので、シュウは魔法を使ってみることにした。


「まずは魔力を感じることからだな」


 魔法を使用するには体の中にある魔力というものを使う必要がある。なので、まず体の中にある魔力を感じる必要ある。


「確かよく読むファンタジー系の本には『魔力は体に通る血液のようなもの』って書いてあったような」


 シュウは読んだ本に書かれていたことを思い出し、目を閉じながら魔力を血液のようなものっと意識してみた。すると、なにか体に流れる不思議なものを感じた。暖かくどこか安心するそれにシュウは体から力が抜けていった。すると、シュウの体が青白く光り始めた。だが、目を閉じているシュウはそれに気づかなかった。


「・・・ふぅ。なんとなくわかった」


 ピコン


――魔力操作を取得しました


 電子音とともにウィンドウが出現した。だがシュウは邪魔だといわんばかりに書かれていることを見もせずにウィンドウを消した。シュウは何かに興味を示すと周りが見えなくなり邪魔などされるとかなり怒ってしまう。


「次は・・・『自分が思う魔法を使ってみよう』っか」


 この本には魔法の使い方はほとんど書かれていなっかた。なぜなら魔法はその人その人のイメージに左右されるので魔力の操作さえできれば魔法は使用できる。なので、書かれていたことは魔法を使用する際に詠唱えいしょうを使用することや指に魔力を集め空中に文字を書くスペリングのどちらか自分にあったものを使用するようにと書かれていた。そして、もう一つシュウはあまり気にしていなかったが詠唱やスペリングの際は魔法文字を使用するよう書かれていた。


 実は魔法文字は忘れ去られた言語なのである。なので、現在魔法は使用されておらず魔術という魔法に似せたものが使われている。だが、魔術は魔法よりもかなり劣る。それは本の冒頭にも書かれていたとおり魔法は世の理を凌駕している。一方魔術は世の理に即したことしかできず、なおかつ魔術は魔法を使いやすくしたものである。そして、魔法は人それぞれの魔法があり種類も数えきれないほどあるのに対し魔術は万人が使えるものなので一つの魔術を多くの人が使えるため数はそこまでない。


「・・・魔法ね~。俺が思う魔法かどんなのがあるかな?」


 シュウは自分が思う魔法というものがどんなものかよくわからなかった。


「そういえば俺の職業召喚士サモナーだったよな。なら召喚魔法なんてのもあるんじゃないかな?」


 自分の職業を考え召喚=魔法という単純な考えが浮かんだシュウは召喚魔法を使ってみることにした。


「・・・詠唱とスペリングどっちが俺にあってるかわからないしどっちも使ってみるか」


 そうしてシュウは詠唱を考えることにした。


 そして、しばらくして自分が思う詠唱を思いついたシュウはさっそく魔法を使ってみることにした。


「・・・『我は望む、我を思い我の剣となり盾となるものを。我は誓う汝を思い剣となり盾となる。だから、俺の相棒として一緒にいてくれ』」


 シュウの詠唱は最初はそれっぽくしていたが最後は自分の本心からの言葉がそのままでた言葉だった。そして、詠唱を終えるとシュウの足元が光だし詠唱と同時に書かれた魔法文字も光出した。その輝きは増していき光があたりを包み込んだ。


――職業が召喚士サモナーから魔法使いになりました


 光が収まるとシュウの前にライトグリーンの髪をセミロングにし背中に翼を生やしたメイド服姿の女性がたっていた。


「私の名前はガブリエル。お呼びになりましたか、私の主様」


 そういいガブリエルは跪いた。


「うん、呼んだよ。だけどその前に立ってくれないか?」


 シュウはガブリエルに手を出した。


「俺は君と対等な関係を望んでいるんだ。だから、立ってくれないかな?」


「・・・わかりました、シュウ様」


 ガブリエルはそう言うとシュウの手をとって立ち上がった。


「様はやめてくれないか。なんか恥ずかしい」


「いえ、いくら対等な関係とはいえこれはゆずれません」


 ガブリエルの目には頑固たる意思があったのを見たシュウはそれ以上なにかいうことはなかった。


「ま、これからよろしくな。ガブリエル」


「エルとおよびください」


「わかった。よろしくエル」


「はい、よろしくお願いしますシュウ様」


~~~~


 そこは暗い闇が包む場所であった。


――私はいつまでここにいればいいのでしょう?


 そんな暗い場所にエルは一人佇んでいた。見渡す限り闇に包まれたここでエルはどのくらいここにいたのか忘れるほど長い年月がすぎていた。


――いつ迎えに来ていただけるのですか主様


 ここに来る前に約束していた主との約束を思い出していた


『いつかあなたを迎えに来るわ。だから、それまでつらいだろうけど我慢してくれないかしら?』


『・・・わかりました。いつまでも待っております。なので、そんな顔をしないでください』


 辛そうにする主に対し笑顔を向けるエル。昔にした約束を思い出し何とか心を保つエルはもう限界に近かった。


――もう私のことを忘れてしまったのですか?


 そして、エルは諦めが心のどこかに産まれつつあった。


――?この光は


 そんなエルにひとすじの光がさしたその光はどこか主に似た暖かさがあった。


『だから、俺の相棒として一緒にいてくれ』


 主とは違う声なのだがそこ言葉にエルは主と通ずるものを感じた。それはエルが主と契約したときのことだ。


『私のパートナーとして一緒に戦ってくれないかしら?』


 そのときを思い起こされる言葉とどこか安心する暖かな光にエルは、


――ああ、やっと迎えに来てくれたのですね、主様


 そうして、エルは光に手をのばした。

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