第10話暴君

とっさに僕は脳の信号が赤になったのでツカサを抱きしめて衝撃から逃れた。


その1秒後にさっきまで座っていた椅子や机が粉々になった。


「ツカサは…俺の女。」


太い棍棒を持った男が僕とツカサを睨んでいた。物欲しげによだれを垂らしてながら。


「知り合い?」


「わたしのストーカー。」


なるほどと僕は思った。


「お前、ツカサと僕を同時に狙ったのか?」


ストーカーは、何も答えない。


「ツカサは、ともかく僕を狙ったのなら許さないぞ!殺してやるからかかって来い。」


「ツカサだけ、狙った。」


ヨダレを拭いて男は言った。


「証拠でもあるのか?」


えっと、それは…。


と言いかけた瞬間、男の脳天を僕は踵落とし、した。


「うげ!」


と悲鳴を上げて男は倒れた。


「やるじゃない。」


ツカサは、高笑いしながら僕に言った。


「別に暴力じゃないんだ。正当防衛と過剰防衛の真ん中を取っただけの事だよ。」


「意外と自己主張するのね。」


僕は、出っ歯を連れて病室に戻った。


「僕は、正気かな?」


「知らねーよ。」


出っ歯は、投げやりな言葉を発した。


「お前もツカサが好きなんだな?」


「あぁ、悪いかよ!」


「素晴らしい事だ。」


僕の言葉に出っ歯はポカーンとしてしまった。



 














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