一日目 朝

一晩寝たが頭は憂鬱なほどに重い。手は痺れるし、それにどこからか​──腐敗臭がする。なんてひどい場所だ。できることなら一刻も早くこの星から出たい。

しかし​────あの女のことが気にかかってしかたがない。ヴィ​─​─ん?ヴィナスと言ったか。アレに頼めば地球に帰してもらえるかもしれない。しかしどうやって?そもそも、私はどうやってここへ?

うーむ、わからぬ。

タービンを回せと言っていたか。しかしタービンの場所も知らないままには下手に動くこともできないし、タービンごときで環境が変わるなど信じられない。それに、あの女が信用できるとも到底​──​───

こうなっては、この星の為に動かなければ帰してはもらえないだろう。何かできることはないか──?

そうだ、私はかつて研究職をしていたことがある。タービン、などというのは迷信に過ぎないだろう。私の研究によってこの星の根源を明確にしてやろうじゃないか​────

つまり、ここに「トパーズ18フォンツグレートブラボーLAB-01」を開設する。

開設してほんの8秒だ。誰かが戸を叩く。ヴィナスはいないらしい。私はゆっくりと沈んだ頭をもたげて戸に向かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る