離れられないのは、なぜなのか?

「2日連続で逢うって珍しいよね~」

 確かに珍しい…無職の時は割とあったのだが、ここ1年は無かったように思う。


 彼女の希望で、地元で大盛りが有名なラーメン屋に行くことになった。

 正直、好きじゃない店。

 不味くはない…でも駐車場が狭い…店内も狭い…なんかガヤガヤしていて落ち着かないのだ。

(ラーメン食べないんじゃなかったっけ…)

 そんなことを思いながら、店内へ思ったよりは空いている。

「何食べる?」

「うん…何でもいいけど…焼きそばは大盛りだよ…この店」

「そうなの?頼んでみたいけど…」

「うん…止めておいた方が…」

「そう…有名なんでしょ」

「うん…大盛りで…」

(頼みたいのだろうか…頼むんだろうか…ギトギトの焼きそば…)


「味噌ラーメンと炒飯」

(ナイス!チョイス!…まだ味噌ラーメンのほうがマシだ)

「来たら先に食べてていいよ…タバコ吸ってくる」

「うん…」

 彼女は外へ出て行った。


 ほどなく味噌ラーメンが運ばれてくる。

 見た目は多そうに見えないんだよ…食べると、いつまでも麺が減らないんだよな~。

 そして…麺は減らないのだ。

「味噌ラーメン美味しい?スープだけ貰おうかな」

(麺も食ってくれ…頼むから…)

「炒飯美味しいね…」

 もらっておいた小鉢にラーメンを移すのかと思いきや…先ほどコンビニで買ったサラダを移して食べ始めた。

 ングングッとサラダを食している。

(そのぶん、どっちでもいいから食べてくれないかな…味噌ラーメンでも炒飯でも…)

「はい」

 サラダの食べ残しを差し出してきた。

(キノコ…食いたくないんだな…俺も好きじゃないけど…)


「限界…もう食べれない…」

「え~残ってるよ…」

(残すことは計算済みだ…この店だと聞いた時から…)

「アタシも頑張るから~」

 彼女なりに沢山食べた…と思う。

 でも減った気がしない…なんだろう…この器だけ時空が歪んでループしてるような感覚に陥る。

 ある意味ホラーだ…。

 食っても…食っても減らない炒飯…短編書ける気がする…。


 気持ち悪い…吐きそうだ…彼女と食事をすると、こうなるんだ。

 出勤前、彼女の楽しみらしい…。

 胃袋と財布に優しくない彼女の楽しみだ。


 僕には…何のメリットもないのに…なぜ彼女に逢いたくなるのだろう…不思議だ。

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