第6話 運動をして健康を保つ
俺には仲のいい友人がいて、小学校から高校まで一緒だった。さすがに大学まで同じになることはなく、次第に連絡を取らなくなった。
中学から陸上部に所属していた俺は、大学でも陸上を続けることにした。
大学からは一人暮らしなので、今まで以上に健康に気を使わなければならない。
部活は週4で、その他に自主練として毎日夜に10キロのランニングをすることにした。食事に関しても、毎日お米を炊き自炊して、バランスの良い食事を心がけている。
大学一年生の生活習慣としては素晴らしすぎるのではないか......!
ある日、夜食を作っている時に高校時代の同級生からメールが来た。
「なあなあ、あいつのことなんだけどさ……」
どうやら仲の良かった友人が、大学入学後引きこもり気味になってしまったらしい。学校に行っていないわけではないが、買い物は全てネットショッピングで行い、サークルにも入らないでずっと家にいる、とのことだ。
なんとなく心配になったので、彼のアパートを訪ねることにした。幸い、電車一本で行ける距離だった。
ドアの脇にあるチャイムを押す。
中から物音がし、ドアが開けられた。
「よう、久しぶり」
「……なんで?」
部屋の中はダンボールでいっぱいだった。
「悪いな、急に」
「ほんとだよ、ったく」
いくらか会話をし、本題に入る。
「お前、外出た方がいいぞ」
「なんだよ急に」
「いや、引きこもり気味だって聞いたから」
「あーまあ、そうだな…」
「息詰まるだろ。たまには外の空気吸えよ」
「うー…めんどくせえ……」
「めんどくせえじゃなくてさー…。そんな生活続けてると早死にするぞ」
「はあ……わかったよ。気をつける」
********************
大学に入学して、あいつと連絡を取ることが少なくなった。そんなあいつが俺の部屋にいきなり訪ねて来た日から、もう一週間経つ。
友人のアドバイスは素直に受け入れ、その日から毎日外に出るよう心がけていた。
それなのに。
テレビでニュースを見ていたら、あいつの名前が出た。
あいつは、ランニング中交通事故に遭い、死んだ。
そんなことされちまったらさぁ……。
お前のアドバイスを素直に受け入れた俺が、バカみてーじゃねーか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます