第3話 喋るネコ

ある日、学校からの帰り道に1匹のネコと出会いました。灰色のキジネコです。


彼は私をじっと見つめて、一言。


「助けてくれ」


まあ。なんてかわいいネコなんでしょう!


「なんで人間の言葉を話せるの?」


「わからねぇんだよ。おかげで他のネコたちが何言ってるかわかんねぇんだ」


面白いネコちゃんです。気に入りました。


「じゃあ私とおしゃべりをしましょう!人間と話すのも楽しいのよ」


「けっ。人間なんて、意味もなくおいらたちを構いたがる連中じゃねーか」


「でも今はあなたから私に話しかけてきたじゃない」


ネコちゃんはバツが悪そうに顔を歪めます。なんででしょう。人間の言葉を話す分、表情もすごく豊かに思えます。


「うるせーな!人間なんて嫌いだけど、人間の脳でも借りなきゃおいらの病気は治らないだろ!」


「病気なの?それ」


「病気だよ!おいら、みんなが何言ってるか全然理解できなくて誰とも仲良く出来ねぇんだ……。だからなんとかしてくれよ……!」


「んーでも私じゃ治せないよ」


「そこをなんとか!」


ネコちゃんは器用に前足を合わせて私の足に寄りかかってきます。本当に人間みたい。


「そういえば、あなたネコなんだから、『そこをなんとか』じゃなくて『そこをにゃんとか』でしょう?」


「なんだよその、なん、ん?にあん?に、ん??」


ああ、なるほど。


「そっか。あなた人間の言葉しか喋れないから、ネコ鳴き声も真似できないのね」


「うう〜〜〜なんなんだ、おいらなんでこんな体になっちまったんだ」


「でも、あなたは今の方がかわいいわ」


「かわいくなんていたくないんだよ!おいらは普通になりたいんだ!」


「私は今のあなたが好き」


「え、いや、好きとか言うなよな……」


一丁前に照れるあたり、やっぱりかわいいじゃない。


「今度ツナ缶をあげるわ。きっと好きになるはずよ」


「つなかん……???」


そんなこんなで私たちは仲良くなります。とってもかわいい彼と私は、これからどんな毎日を過ごしていくんでしょうか……

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