第2話 集合
俺が自称『神』の言う事を聞かずに読めた方を拡散した出来事を掲示板では賛否が分かれていた。
俺は一時的な感情でこのような事を掲示板で謝った。
最終的には誰かが遅かれ早かれやっていただろう。と、結末を迎えた。
そして一週間後。
自称『神』からの掲示板の書き込みがなかった。
これに対して俺が集中的に叩かれた。
俺が歯向かうような事をしたから『神』の機嫌を損なったってな。
まぁコレはその通りなのかもしれない。
俺がバカな事をしなければ良かったんだ。
だが、後悔はしていない。
そう思えるのは俺の味方をしてくれる人がいたからだ。
その人は『ハナビ』さんだ。
この人は、俺が読める方を拡散してなかったら自分がやっていたと言ってた人だ。
そして、俺よりも拡散力のある人だった。
俺は特に役に立ってない。
……コレが一番落ち込んだ。
俺が謝罪の言葉を掲示板に書き込んでいた。
そして自称『神』が書き込みをした。
三日遅れだな。
寝坊かね。
だが、俺は遅かれ必ず書き込みはあると思っていた。
内容は今回も文字化けしていた。
俺が読める内容は、
『遅くなりました。神です。遅くなった理由は諸事情です。集合する日時をお知らせします。集合時間は明後日の午前零時~午後十二時の二十四時間の間に寝る事です。寝るだけではもちろん駄目です。この文章を少しでも読んだ方が自動的に集合場所に移動します。不参加の場合は睡眠は遠慮して下さい』
ハメられた。
俺が一番に思った感情だった。
自称『神』にとって読める読めない文字の拡散はどうでも良いんだ。
拡散してもらう事が重要で、俺みたいにムキになるヤツも利用したんだ。
……クソッ!
そして、この参加方法だ。
読むだけって何だよ。
罠じゃねーか。
何もかも自称『神』の手の平の上か。
三日遅れたのもワザとじゃないのか?
読めないヤツはこんな掲示板は退屈だ。
残るのは俺たちのような人と暇なヤツだろうな。
無駄な奴らを排除し、俺に対してスレが荒れてる時に書き込む。
これ程、効果的な方法もない。
絶対に読むだろうからな。
クッソー!!
そう考えると、俺が書き込んで叩かれる事も自称『神』の遅れも計算の内かよ。
……切り替えよう。
ふぅ~~。
自称『神』は日時の指定、集合場所に行く方法、やり方を書いてある。
コレから分かるのは、この書き込みをしてるヤツが本当に異次元の特殊能力を持った『神』に近いヤツって事だ。
巧みなのが、何をやるのかがはっきりしていない事だ。
人間は物事を楽観的と悲観的とではかりにかけてしまう。
これはヤバいな。
まぁ仕方ない。
この集合には乗ろうじゃないか。
そして、集合の日の夜。
まだ、零時になってないから前日になるのか?
時間は後、三分。
掲示板では寝る人が多かったな。
『ハナビ』さんははっきりしなかったけど。
はぁ!?
え?
……頭の音が止まった?
時間は零時ジャスト。
自称『神』は本当に巧いな。
睡眠不足の人達が多いのを利用している。
いきなり静かになったが、数時間すれば強烈な睡魔が襲うだろう。
今日一日寝ずに起きていられる人はどのくらいいるんだろうな。
俺は寝るけどね。
自称『神』に会って直接文句を言ってやる……。
目を瞑ると俺は数秒で意識を手放した。
――――――
……もう、朝か?
結局何だったんだがな。
「……こう来たか」
俺が目を覚ました場所は俺の部屋ではなく、どこか別の空間だった。
おそらくは夢の中か。
上も下も右も左も白い空間だ。
そこに人が一人。
こいつが自称『神』か。
「……こんばんは」
俺に気が付き挨拶をしてきた。
顔が分からない。
性別も分からない。
なるほど、自称『神』に相応しいな。
「……お前が自称『神』か?」
「そうだよ」
機械的。
いや、人工知能と喋ってるようだ。
「お前の目的は?」
「……」
「ここはどこだ?」
「……」
「何のためにこんな事をしたんだ?」
「……」
だんまりかよ!?
「すまない」
「!?」
突然、神に謝られた。
「……君の前にいる私は簡単に言えばホログラムのようなモノで受け答えはあまりできないんだ。一方的に喋る事になるけど許してほしい。私には時間がないんだ。このような方法しか取れない事を心より謝罪すると共に真剣に聞いてほしい。君たち人類の危機だ」
……俺は何かが腑に落ちた。
何かが何なのかは分からないが、何となく許してあげようと思えた。
洗脳か?
と、疑ったが多分違うだろうな。
謝れた。
だから許そう。
そう思う事が出来た。
だから、『神』の話を真剣に聞こうと思った。
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