ああ、これは夢だ。何故か僕はそう感じた。

 目を開けると目の前に少年がいた。

 金髪で荒っぽく、近づくものを全て切ってしまいそうな漫画の主人公のような少年だ。

「お前、なにしてんだよ」

 それより気になったことがあった。何故ならここは…。

「・・・森?」

 触れた草の感覚はとてもリアルで、生命の力強さを感じた。

「おいおい、起きて最初の一言がそれかよ」

 少年は呆れるように言った。

「ああ、ごめんごめん気がつかなかった。君は一体?そしてここはどこなのかい?」

「たっく・・・俺の名前はじん。やまなかじんだ。」

 やまなかじん?やまなかは山中だろうが、じんはどのじんだ?

「どんな字かい?」

「お前なぁ…質問ばっかかよ…」

 じん君は呆れながらそういった。

「山中は簡単な字だ、説明いらねえよな。仁は中国思想の方だ。」

「なるほど、ありがとう」

 僕は笑顔でそう返した。

「全く、普通は俺が名前言ったんだからお前も言うぞ」

「変わってるってよく言われる」

「んじゃ名前教えろよ」

 確かにそうだ、僕の名前は…名前は…?。

「分からない…覚えて無い」

「和可羅那居?御簿柄手衣拿居?って名前じゃないか」

「不思議だ、僕の名前が分からない」

 名前が・・・というより昔のことが思い出せない。

「なるほど、お前あれだろ」

 仁は笑顔で僕に向けて人差し指を指して言った。

「新しい魔法使いだな!」

 

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