1-4 異世界 2回目の朝
「ん...」
意識が覚醒する。その後、思わずあくびが出る。周りを見てみるとテントから光が漏れていた。
「あれ、いつの間にか眠っちゃったのかな。...あ! え?」
1回目の驚きは、右下の所に未だにくじを引きますかというウィンドウと、自分のステータスが表示されていたためだ。しかし、2回目の困惑は違う。それは、表示されていた魔力が全快していたのと右に良く分からないものがついていたためである。
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名前 平和 要
種族:#人族__ホモ・サピエンス__#
年齢:16
職業:平和導師
lv.1
体力:14/14
魔力:12/12 −0.2/h
筋力:14
防御:12
魔功:12
魔防:12
俊敏:12
器用:12
SP:鑑定lv.1[97/100],家生成lv.1[67/100],テイクオーバー、不老
スキル:異世界総言語、長剣術lv.2[47/400]
称号:平和導師の証、異世界人
経験値:768/1000 PP:1 閉じる
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「なんだこれ? こんなの見たことが無いな。ああ、もう訳の分からないことだらけだ。情報が欲しいよ」
俺は余りにも訳が分からな過ぎて憂鬱になってしまった。本当にこの世界についてほとんど何も分かっていない。知っているのは本当にごく一部のみ。そもそも異世界の人どこだよ! 異世界では定番の魔物っぽいのがそんなにいないのが嬉しいことだな。
「よし、まずは...そうか。このくじをどうするか決めてなかったんだよな。でも、悩んでても特に案なんて出そうにないしこんなところで立ち往生しているくらいなら外の探検の続きをすべきだよな」
自分の意志で決定した。
(まずはこのテントの処理が分からないな。よく考えてみたらテントの片づけなんてキャンプしたときに親がしているのを遠くから見ていただけなのだけれど、ああ、後先考えずにいると...)
「勝手に片付いてくれればいいのに」
そう言った瞬間、いや、これは思った瞬間なのだろうか。俺はテントの中にいたはずなのにいつの間にか外にいた。
「あれ? テントどこ行ったんだ? いや、テントが歩くわけないし。あれ、本当にどこ行ったんだ?」
周りを見てみると、昨日大変処理に困っていた瓦礫の塊も元からそこには何にもなかったかのようにきれいさっぱり消えている。何が原因で...そう考えたとたんに直ぐに頭に出てきた。
「もしかして、自分が飛ばされたとかかな?」
そして、テントのあった場所から見えた緑色のある地平線を見てみる。しかし、確認する前に黄金のような黄緑色の草原に圧倒されてしまった。昨日も見たはずなのに。思わず後ろを見てみると朝日が昇っていた。これは、朝焼けか。なら、圧倒されてそちらに興味を持ってしまうのも無理は無かった。
日本では絶対に見られないような絶景をずっと見ていたくなるような気持ちを抑えて地平線の向こうを見てみると、自分の記憶と一致する赤がかっている緑が見えた。
「ちゃんとあるな。ということは、自分は飛ばされていない? あーもう、いいや。こんなの考えてたら朝なのに日が暮れてしまう。とりあえず、歩こう」
と、思い立った矢先、ステータスが出しっぱなしなことに気づく。すると、魔力の所に変化が有るのに気づいた。
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名前 平和 要
種族:#人族__ホモ・サピエンス__#
年齢:16
職業:平和導師
lv.1
体力:14/14
魔力:12/12 —0.1/h
筋力:14
防御:12
魔功:12
魔防:12
俊敏:12
器用:12
SP:鑑定lv.1[97/100],家生成lv.1[67/100],テイクオーバー、不老
スキル:異世界総言語、長剣術lv.2[47/400]
称号:平和導師の証、異世界人
経験値:768/1000 PP:1 閉じる
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「あ、不思議マークが0.1減ってる。これ、細かすぎないか? こんなの覚えてられるか」
『分からない』のオンパレードに嫌気がさしてきた。でも、しょうがないだろう。新しいものに分からないはつきものだ。ステータスだけを消して、そう考えることにした。
草だけが生えている道を歩いていくこと~約10分~
その間、俺は口笛を吹いたりしていながら散歩を楽しんでいた。異世界と言えども、この天気にこの快適な温度は思わずスキップをしてしまうほど心地が良い。こんな平和な世界に、どうして平和導師なんて必要なんだよ。思わずそう感じてしまうほどに。
俺は、あるものに歩きながら視線をちらちらと向けていた。それはくじ引きである。やっぱり気になる。とても気になってしまう。そして、歩いていた足を決心して止めた。
「よし! くじ引きターイム! やってやる。大丈夫なはずだ」
テンションを地味に上げながら恐る恐るyesに手を伸ばし、人差し指で触れた。すると、目の前に箱が出現した。でも、その箱はただの箱では無く空中に静止している。だけど、俺が見た箱と明らかに違う気がするのは気のせいなのだろうか?
あの時みた箱は純白で、金色っぽい装飾もあったはずなのに、今目の前にある箱は魔反対で真っ暗。これ以上の黒は存在しないんじゃないかというほどの物凄く怪しげな雰囲気を醸し出す箱だ。フラグが立ち過ぎている。嫌な予感しかしない。
「これ、大丈夫...だよな? 引いた瞬間に嚙みつかれたりとかも無いよな? 絶対危険だ。引かない方が良い」
俺は、その箱が怖かったので、颯爽とダッシュでその箱から逃げた。勿論、緑の方向へとだ。まあ、ほったらかしにするのも悪い気がするがしょうがないんだ。
「はあ、はあ。まあ、この辺までくればあとは無視するだけ。あの箱のことは忘れよう」
そして、後ろを振り向く。しかし、直ぐに表情を固まらせて元の方向を見た。後ろには、どす黒い箱が変わらない位置で静止していた。って、待て。一旦落ち着こうか。俺は逃げたはず。そう、それは確かだ。じゃあ、あそこにある箱は一体...
もう一度気になって見てみると、見間違いではないようで変わらずそこにある。それから離れるようにして歩いてみる。すると、それも俺に合わせるようにしてついてきた。
(いや、ついてくんな)
全力でダッシュする。するとまるでお母さんに付いてくるアヒルの赤ちゃんのようにぴったりとついてきた。こう表現するとかわいく見えるが決して可愛くなんて無い。むしろホラーだ。
「ぜぇ、ぜぇ...いや、なんでついて来るんだよ。ずるは出来ないってことか。しょうがないな。引くしかない...」
俺は、この箱には叶わないと思い、というかどこからどうみても自業自得なのだが引くことにした。箱に近づく度に緊張しているためか心臓のドクンッ ドクンッという鼓動がはっきりと聞こえてきた。
「あとは、手を中に入れて引くだけ...!」
そう自分に言い聞かせるが、何が起きるか分からないので全身がこわばる。手を入れると何かを手に取った。この手触り、くじだろう。思いっきり引いて箱の外に手を出した。
「あれ、特に何も起きなかったな。ふう、良かった。さてと、肝心の中身は何なんだ一体」
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