第17話 内定

実はこの最後に受けた会社の内定をもらう数日前に、別の会社からも内定を受けていた。

あの母親として働く覚悟はあるかと問われた会社である。


きっと、最後の会社に内定をもらえていなければ、迷いなく受けていたと思う。

でも、私はやはり最後に受けた会社の内定を受けることにした。

面接の時の言葉が、これから子どもを育てながら働く私にとってはありがたかったし、何より安心して働ける気がしたのだ。

もちろん、先に内定を下さった会社だって、私が子持ちである、しかもまだ0歳児の子どもだということを分かった上で内定を下さっているのは承知である。覚悟があるかという言葉に、あると言い切った私を信じて採用してくれたのだと思う。


だけど本音を言うと私は少しだけ怖かったのだ。

奇跡的に、この段階では息子はまだ大きな病気をしたこともなく、熱が出たことすらなかった。

そんな息子だが、よく聞く「保育園での(病気の)洗礼」を受けることになるだろうと思っていた。

そして実際受けた。最初の半年ほどは本当に呼び出しが多かったし、すぐに発熱した。クラスの誰かが風邪をひくとすぐに移って帰ってきた。逆にうちが移してしまうこともあった。


そんな洗礼を受けまくっていたら、病児保育や親の協力も及ばない日が来る気がしたのだ。

そして実際そうなった時、先の会社では「それ見たことか」となるかもしれないとおもうとこわかった。それなら最初から心配いらないとどーんと構えてくれていた会社の方が、私も精神的に楽に思えたのだ。


こうして私は無事、保育園を退園させられずに仕事を始める方はことができた。


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