第8話 新卒就活と今回の転職の違い
最初に受けた企業からはもちろん採用お見送り、いわゆるお祈りメールが届いた。
当たり前だったのでそこまでショックは受けなかった。むしろあのズタボロになった面接のおかげで覚悟が決まったところまである。
新卒の時の就活と今回の転職ではまず背負っているものが違う。新卒の就活では、言っちゃ悪いが背負っているものなど何もなかった。失敗しても自分が困るだけだし、卒業しても決まらなければバイト掛け持ちして最低限食い繋いでいけばよいか、なんていう軽い気持ちだった。それでも困れば地元に戻ってバイトして家にお金を入れて実家暮らししようかななんて、今思えば往復ビンタを食らわせたいくらいのあまちゃんな考えで臨んでいた。
でも、今回の転職はちがう。
自分だけの問題ではない。
息子の保育園入園が取り消しになるのは痛い。
この時点では区役所に事情を説明したところ、職がなくても4月に入園して構わない、そのかわり6月ごろまでには決めてもらわないと退園になってしまうと説明を受けていた。
そうなると転職活動も思うように進められないし、何よりここは保活の激戦区。仮に7月とかに決まったところで中途入園などほぼ不可能に近い。そうなると1歳児クラスになるまで待たねばならない。
経済的にも打撃がある。
会社が倒産したことで失業手当はもらえるが、当然ながら働いていた頃に比べて収入は下がっている。その上その手当がもらえるのは離職してから1年の間だ。それを過ぎれば本当に収入0になる。
夫の給料だけで3人で暮らすのはかなり厳しい。
そう、この転職には息子の生活もかかってるのだ。
だからのんびりしている場合でもないし、1日でも早く仕事を決める必要があった。
その日からも転職エージェントに相談しながら応募しては書類で落ちる日々が続いた。これ言ったらどこの転職エージェント使っているかバレそうだが、なぜかそこの転職エージェントはTOEICの点数をやたら聞いてきた。高校以来受けたことがないことと、その当時で680点だったことを伝えたら「うーん、それではあまり良い案件はないかもしれない」と言われてしまった。750点は欲しいと言われた。
本当に英語力ってそれだけで武器になるんだな、将来息子には英語の勉強やっていこう!って言い聞かせようと決意した。
そして良い案件はないと言う言葉は本当だった。前より給与がガクッと下がるか、家からめちゃくちゃ遠い、残業がとてつもなく多いなど。
選り好みする立場ではないと分かっていたが、いざ文面で見てしまうと一歩引いてしまう自分がいた。
が、一つ思いついたことがあった。
「ハローワークなら、比較的家から近い会社の求人があるのでは?」と。
そこで私は、改めてハローワークで求人を探してみることにした。
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