金縛りの夜

モンスターなカバハウス

金縛りの夜

金縛り。

脳が起きた状態だが体は寝ている、みたいな話は聞いたことがある。

そして新しく一人暮らしを始めた俺は頻繁に金縛りにあった。

最初は疲れているだけなのかな?とも思っていたが、金縛りが毎日続くようになった。

それでも気にしてなかったんだが最近やけに体が重く、起きたら汗を大量にかいてるせいか顔がびしょ濡れになっていた。

さすがにおかしいと思い友人に相談してみた。


「金縛り?疲れてるだけじゃねーの?」

「それが毎日起こっててさ。体の調子も悪くなるわ、汗も尋常じゃない量がでてるみたいで」

「うわ…それ霊じゃねーの?」

「やっぱり?」

「お祓いとか受けたほうがいいって、マジで」


と勧められ、近くの神社でお祓いをしてもらった。

正直こんなの役に立たないだろうと思ってたけど、やってもらった後はなんだか気分が軽くなった。


「やってよかっただろ?」

「まぁ、うん。なんか気分良くなったわ、憑いてたのかな?やっぱり」

「憑いてたんだって。お前が辛気臭いから憑いてくるんだぜ。一人暮らし始めてから遊んでないだろお前」

「うっ」


確かに一人暮らしのためにバイトを増やしたりして中々友人とも遊べてなかった。

やっぱり疲れてたのかな?


「つーわけで今日は夜遅くまで俺んちで飲み食いしようぜ。久しぶりに他のやつらとも集まってさ」

「そうだね、よっしゃ飲みまくるぞー!」

「あはは、そのいきだ」


そして友人宅に集まって酒を飲んで食べてドンちゃん騒ぎ。

皆でわいわい騒いだ後、自力で帰れないぐらい酔っぱらったので友人宅で一泊させて貰うことになった。

その日は何事もなく、酒も入ってたせいかぐっすり眠れた。

翌日、朝起きたが金縛りもなく、気分は清々し…くはない。

二日酔いでかなり気持ち悪い。


「おえっ」

「おいおい大丈夫かよ」

「久しぶりで飲みすぎた」

「家まで送ろうか?」

「大丈夫大丈夫、一人で帰れるから」


送ってもらうのはさすがに悪いと思い。

一人で歩いて帰った。

幸いその日はバイトも入っていなかったので、家で一日ゆっくりすることにした。

テレビを見ながらぼーっとしていると昼、気持ち悪くて何も食べてなかったせいか、腹が減ってきた。

でも今日は飯を作れるほど気力もない。

相当飲んでしまったらしい。

飯を作るべきか、ちょっと勿体ないがコンビニ飯で一日やり過ごすか。

かなり悩んだが面倒くさいのでコンビニで適当におにぎりを買うことにした。

おにぎりを食べ、さらにぼーっとして過ごした。

一日ずっとぼーっとして過ごして勿体なく感じながら今日はもう寝ることにした。


そういえばお祓いしてもらってからこの部屋に泊まったの初めてだな。

大丈夫かな?

と少し不安にはなったが、昨日何も無かったんだし今日も大丈夫だろうと思って眠りについた。


ぐっすり眠っていたと思ったら何か物音がしたせいか目が覚める。

また金縛りかとも思ったがどうも違うらしい。

体も普通に動くし。

だが目がまだ眠いせいかあかない。

だけど耳は妙に冴えてる。

何かの吐息?

すごい荒い息が はぁ、はぁ と聞こえてくる。

おかしい。

いくら寝ぼけてても吐息が聞こえるのはおかしい。

そして顔を 『何か』に舐められた。

そこではっきりと目が覚めた俺はびっくりして目を開けた。

そこには、知らない女性の顔があった。

必死に俺の顔を舐めている。

そして俺が目を覚ましたのに気付き、驚いてる俺を見て


「アハッ♪残念起きちゃった。いつもは睡眠薬でぐっするなのに」

「えっ」


状況を呑み込めない俺にその女性はにっこりと笑い、そして


「ハ ジ メ マ シ テ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

金縛りの夜 モンスターなカバハウス @monsterkabahouse

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ