第二章 2 『新たな出会い』
「ようこそ副都へ!! 今日から半年間、騎士になるべく色々と学び、強くなってくれ!!」
そう話したのは、副都の教官ステファ・オルニード。壇上から、騎士を目指す者達を見下ろし、凛々しい表情でそう言葉にした。その騎士を目指す者達の中に卓斗達の姿はあった。
――副都での新たな物語が始まる。
「では、これから名前を呼んでいくまずは、マクス・ルード!!」
マクス・ルード。十五歳の男性。茶髪のモヒカンヘアで、お調子者な性格。背は156センチと低めで、田舎の悪戯っ子な様な見た目。落ち着かないのか、辺りをキョロキョロとしている。
「次に、オッジ・ダマルス!!」
オッジ・ダマルス。十八歳の男性。茶髪で肩上までの長さでカチューシャを付けている。十八歳には見えない風貌でダンディな見た目。
「次に、オルフ・スタンディード!!」
「…………」
オルフは、両サイドを女性に挟まれ固まっている様子だ。
「次に、レフェリカ・オルニア!!」
レフェリカ・オルニア。十六歳の女性。名門オルニア家の令嬢で、濃い青色の髪色でロングヘア。クールな印象の見た目。腕を組んで、目を瞑り立っている。
「次に、ケイト・ホッジダム!!」
ケイト・ホッジダム。十七歳の男性。赤髪で、襟足が長くその襟足を指先で常に触っている。いわゆる、ナルシストだ。気だるそうに、立っている。
「次に、レディカ・ヴァージアス!!」
レディカ・ヴァージアス。十七歳の女性。オレンジ色の髪色で、胸辺りまでの長さで両方の横の上の部分を束ね、ゆるふわな髪型。片手を腰に当てて、鋭い目付きで立っている。
「次に、サーラ・ハズバンド!!」
サーラ・ハズバンド。十六歳の女性。金髪で、肩上までの長さでお団子ヘア。天然でドジっ娘。両手を後ろにやり、笑顔で立っている。
「次に、セレスタ・ルシフェル!!」
セレスタ・ルシフェル。十六歳の女性。王族ルシフェル家の王妃。金髪で、腰までの長さでポニーテール。無口でクールな性格。ジッとステファを見つめて立っている。
「――何で、セレスタまで居るのよ」
エレナが、セレスタを見て嫌そうな表情をしている。
「エレナさん、知り合いなの?」
その隣に立っている三葉が質問する。
「知り合いも何も、王都の三大王族の一つルシフェル家の王妃よ。長年、カジュスティン家と対立してるの。て事は、あの子もいるわねきっと」
「次に、エシリア・エイブリー!!」
「やっぱりね」
エレナは、また嫌そうな表情をする。
エシリア・エイブリー。十六歳の女性。王族エイブリー家の王妃。ピンク色の髪色で、両サイドを三つ編みにしてそれを後ろで結っている。気弱な性格で、オドオドと立っている。
「次に、アマミヤ・リエ!! 次に、ミコシバ・ユウリ!! 次に、カミヤ・レン!! 次に、クスモト・マユカ!! 次に、シノノメ・ミツハ!! 次に、オチ・タクト!!」
ここでようやく、卓斗達の名前が呼ばれた。
「次に、ニイガキ・メグミ!!」
ステファが呼んだ名前に、卓斗が何かに気付く。
「日本人の名前!!」
ニイガキ・メグミと呼ばれた女性は卓斗の隣に立っていた。卓斗が思わず見つめてしまうとニイガキ・メグミは、無表情で首を傾げた。
「えっと……日本人……ですよね?」
「そうだよ、よろしくね越智くん」
新垣恵(にいがきめぐみ)。十六歳の女性。暗い茶髪で肩上までの長さでポニーテール。何の特徴もない、普通な容姿とスタイルだ。
「新垣さんも、この世界に飛ばされたんですか?」
「敬語はやめよ? 同い年だよね、多分。うーん、気付いたらここに居て迷子になってこの場所に来たら流れで騎士学校? に入る事になっちゃって本当、困っちゃうよね」
「じゃあ新垣、これからよろしくな。一緒に日本に帰れるといいな」
すると、恵は笑顔で答えた。
「うん、そうだね、その時まで頑張ろう」
思わぬ日本人に、卓斗も驚いたがこの世界に飛ばされた者は一体、どれだけの数居るのだろうか。
「最後に、セラ・ノエール!!」
セラ・ノエール。十七歳の女性。
「――セラ・ノエール!!」
思わず声を上げたのは、エレナと卓斗だった。以前、悠利と李衣との再会の場所で、セルケトと対峙した時に二人はセラと出会っている。
「お前何でここに!?」
「じゃあ逆に聞くけれど、女々男は何でここに? 私が何処に居ようと、勝手だと思うのだけれど」
無表情で、卓斗に冷たく言い放つセラ。
「だから、女々男って言うなよ。ていうか、オルダン騎士団に居たんじゃねぇのかよ」
「騎士団を抜けて、副都に入る。それだけの事」
「そろそろいいか?」
ステファが、セラと卓斗を見つめて眉を寄せて口を開いた。
「すみません……」
「以上、十七名を副都四十期生として迎え入れる!! 今日は何も授業は無いから寮へと案内する」
寮は、約三、四人で一つの部屋を使い、卓斗はマクスとオルフと同じ部屋になった。
「案外広いな」
部屋は三人には少し広いリビングとそれぞれの寝室があった。
「ふむ、三人で過ごすからな。タクト殿と言ったか、これから半年間よろしく頼むぞ」
「はぁ、お前と同じ部屋ってなんか罰ゲーム受けた気分だよ……」
「おニ人さん!! 俺はマクス・ルード!! よろしくな!!」
全てが面倒くさいオルフと絡むのが疲れそうなマクスと同部屋になった卓斗は、幸先不安を感じていた。
一方、三葉は、セラ・ノエールとレディカ・ヴァージアスとサーラ・ハズバンドと同部屋になっていた。
「私はレディカ、よろしくね」
「よろしくお願いします!!」
レディカの自己紹介に、三葉は元気に答えたが、セラは何も答えず黙ったままだった。そんなセラに対し、レディカは眉を寄せて睨んだ。
「よろしくねって言ってるんだけど」
「別に、同じ副都に入って同じ部屋だからといって仲良くする必要は無いと思うけれど」
奥歯を噛み締め、セラを睨むのに対してセラは、目を瞑ったままあたかも無視するかの様に振舞っている。
「なんか、仲良く出来そうだね」
そう話したのは、サーラ・ハズバンドだ。何も、悪意の無い満面の笑みでそう話す彼女は、空気が読めていない。
「これの何処が……」
そんなニ人を見て三葉は、幸先不安を感じていた。一方、もう一つの部屋でもギスギスした空気が漂っていた。
「で、何で貴方達も副都に居るのよ」
会話を切り出したのは絶世の美女エレナ・カジュスティンだった。
「私がここに居て悪いか? 私からすれば、お前の方こそよく生き残っていたな、無事で何よりだ」
「ルシフェル家の分際で、この私に同情しないでくれる? 余計な御世話よ」
「あの……喧嘩はやめましょうよ。折角こうして、仲間になったんですから……エレナさんも、セレスタさんも仲良くしましょう?」
エシリアは、泣きそうな顔でオドオドしながら二人に話しかける。
「仲間? 冗談はやめてくれる? 私は、貴方達を仲間だなんて思えないし。それから、私のお父様が死んで現在の王の座についたエイブリー家がカジュスティン家滅亡のクーデターを起こしたと踏んでるから、特に貴方とは、仲良くなんて出来ないわね」
「エイブリー家は、そんな事しないです……!!」
一つの国に存在する、三つの王族。王都の王の座を賭けて、長年対立してきた三つの王族は、到底仲良く出来るはずも無い。
「本当、この部屋振りを考えた教官の性格悪いのが丸見えね」
エレナ、セレスタ、エシリアの三人の部屋に暖かい空気は漂うのだろうか。
一方、悠利の入った部屋には蓮とオッジ・ダマルスとケイト・ホッジダムと同部屋になっていた。
「これからよろしく頼むよぉ? 俺の事はオッジと呼んでくれていいからさ」
「ていうか、この部屋四人って暑苦しくない? 俺あんまり群れるの好きじゃないんだよね」
ケイトは、襟足を弄りながら気だるそうにそう話す。
「まぁまぁ、これから半年間よろしく」
一方、李衣の部屋は繭歌、レフェリカ・オルニア、新垣恵と同部屋になっていた。
「新垣さんも、日本人なんだね。何か、親近感湧くね」
「そうだねー、天宮さんと楠本さんは目的があってここに来たの?」
「そうだね、僕達は生きて帰る為に、強くなりに来たんだ」
三人の会話を聞いていた、レフェリカは不思議そうな顔をしていた。
「帰るって、国にか?」
「うーん、まぁそうだけど実際は、世界にかな」
「世界に? よく分からんが……」
レフェリカは、疑問符が出てくるしかなかった。
――再び、卓斗の部屋ではオルフのウザさがどんどん増していた。
「ふむ、タクト殿、我の名前を呼んでみてくれ」
「何でだよ」
「いいではないか、一度でいい、友に名を呼ばれた事がないからな経験してみたいのだ」
オルフの言葉に、苛立ちが積もる一方、少し可哀想にも思えて苛立ちを抑えて、名を口にした。
「オルフ……」
「ふむ、名を呼ばれても案外普通なのだな」
その瞬間、卓斗の怒りは爆発した。
「こんな奴と、半年間も一緒の部屋は、絶対に無理!!!!」
ここから、卓斗のこの世界での物語が、一気に加速していく。
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