第10話新人君


春になり新入社員が入って来た…。



その中でひときわ目立つ背の高い男の子がいた。



仕事は、出来る。



与えた以上の成果を上げる。


優衣は、何となく飲みに誘った。



「はい。」



と答えてきた。



「佐藤君って彼女いるの?」



暗めの居酒屋で聞いた。








「今は、いません。」


「じゃあ、フリーなの?」


「はい。」


「わたし、ストーカーに狙われてるからわたしと付き合ってくれない?」



「え!ストーカーされてるんですか?」



「そう、柏木優斗にね。」



少し佐藤孝は信じられないといった顔になった。




「柏木先輩ですか…。」


「信じられないでしょう?わたしの姉と結婚してるのに…。」



「そうですね。」


「しかも同居してるんだ。」



「それは、危ないです。うちに来て下さい。」



「ありがとう。体一つで良いよね?」



「はい。」






その足のまま孝の家に住み着いた。


2LDKの部屋だった。



二人で飲み直してキスをした。



それから睡魔に襲われて眠った。



酒とタバコがあれば生きていける気がした。




理科系男子な孝と文科系の優衣は気が合った。



ゴキブリがいないと心が和んだ。



緑には悪いけれど…。



舞に電話すると正解だよと言ってくれた。






孝は読書好きで


そしてセックスは淡白だった。



不思議に優衣はそれをすんなり受け入れた。



今までの男とは違う異質を感じた。



スマホには100件以上の電話がかかってきていたが全て優斗だった。



電源をオフにした。



孝を仁に会わせたくなった。



孝に事情を話すとすんなり受け入れてくれて


お見舞いに行こうと二人で病院に行ったが



いつもの病室には仁は、いなかった。



看護士に聞くと昨日の晩に危篤になり亡くなったと聞かされた。







憔悴仕切った顔をしている優衣に帰りはタクシーで帰ろうと



孝が言った。



目を覚ますと孝のシングルベットで寝ていた。



仁が死んだ…。



久しぶりにスマホに電源を入れた。



優斗からメールが来ていた。



『恐いな、やっぱり死神でもついてるんじゃねーの?』



そんな内容だった。

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