リップヴァンウィンクルの花嫁
冒頭ではネットで知り合った男女の出会いが描かれており、そういうテクノロジーを介したインスタントな人間関係が映画の舞台設定になっている。その中で、どこか自信なさげなお嬢さんキャラの皆川七海(黒木華)のストーリーが描かれる。
七海はネットで知り合った男と結婚することになるのだが、結婚式では、SNSを介して知り合った、なんでも屋の安室(綾野剛)に自分の親戚を演じる代役の手配を依頼する。これは呼べる親戚が少なすぎるためである。
【以下ネタバレあり】
そこから安室との接点ができ、七海は安室に操られ、離婚され、安ホテルでのベッドメイキングの仕事を辞め、エキゾチックな顔立ちのAV女優であるCoccoと共同生活をすることになる。
七海に体面を気にするところはあったと思う。まず臨時教師をクビになるが、そのことを正直に夫に話さないのはダメだろう。しかし、授業中にマイクを使ったことが教師をクビになった理由というのは、かなり馬鹿げてるように思う。マイク使うことの何が悪いのかわからない。
現代の都市では、ネットを介して簡単に人と出会える一方で友達という関係が希少価値を帯びているように思うが、Coccoが安室に依頼したことは友達であった。要するに、金銭で友達(七海)を買ったのである。
安室は、そういう背後の事情を隠して、七海がCoccoと自然に友達になるようメイドの名目で七海をCoccoの豪邸に送り込むが、やがては自分がCoccoに雇われていることを知る。しかし、そのことが友情に何らかの悪影響を及ぼしたようには見えなかった。もっとも友情といっても、Coccoは死を覚悟している身なので、それは限られた時間の友情にならざるを得ないが。
女子同士の結婚ごっこの場面は冗長であったが、全体的におもしろかった。筆者は黒木華はこの作品が始めてで、夫役の俳優も始めて見た。そのため、非常にリアルに感じられた。黒木華の演技は良かったが、一点だけ演技がバレバレだったところは、しゃっくりの演技である。とはいえ、しゃっくりの演技は年季を積んだ俳優でも難しいのではないだろうか。
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