ゴジラの目的地(ハイパーネタバレ)

『ゴジラ第五形態』とは『新人類』だったのです。

 な、なんだってー!


 という仮説を提唱したところで、残された謎を考えて見ましょう。

 主に二つです。


『ゴジラの目的地』と『ゴジラの誘導方法』です。

 うん、不明。



<小生とシンゴジラ 完>




 というネタをやると怒られそうですが、この部分に関してのヒントがほぼ無い。

 特に『ゴジラの誘導方法』なんて『牧悟郎の怨念説』が出てくるぐらいですしおすし。それってどこの『平将門』ですか、という感じです。


 まあ、実際に『怨念』が絡んでくるゴジラ作品もありますが、あまり『シン・ゴジラ』という作品に相応しい仮説では無いような気がしますね。コントロール装置を埋め込んだという仮説の方が世界観に合っているかなーと。


『ゴジラの目的地』に関してはちょっとだけヒントがあります。


『ゴジラが東京を目指していたこと』

『最後に停止した位置から見える場所』


 この二つから考えると、その場所は『皇居』であると推測できます。ただゴジラの進路が直接『皇居』向かっていないという疑惑もあるので、根拠としては弱いです。ただ『暗黙のルール』があるので、それに配慮した可能性もあります。

 

『ゴジラの誘導方法』に関してはさっぱりですね。

 ただ『妄想』することは可能です。


 小生の考えでは『牧悟郎の目的』は『ゴジラを第五形態に進化』させること。

 そのための方法が『核』による強制進化。


 ですが、もし『核』を撃たれなかったら、もし『ヤシオリ作戦』すら実行されなかったら、『ゴジラ』はどうなっていたのでしょうか? 


 そのための『目的地』であると考えられます。

 もし『ゴジラの目的地』が『皇居』だとするならば、そこに到着したと同時に『第五形態』への進化が始まるのではないでしょうか?


 つまり、『目的地』というのは『人類に残されたタイムリミット』でもあったのかもしれません。それまでに『ゴジラ』を止められないならば、『私の選んだ未来を受け入れろ』という『牧悟郎』のメッセージといえるでしょう。


 もしこれが事実ならば、『ゴジラの誘導方法』も推測することができます。

『第0形体』から『第一形態』へと進化させるために使用した『ナニカ』。

 

 仮称として『進化剤』とでも呼びましょうか。

 その『進化剤』を『皇居』に配置していたのではないか、と考えられます。


 ゴジラはそれを求めて、のっしのっしと歩いてきたわけですね。

 仮説としては無茶があり過ぎるので、あくまでもお遊びということで。


 ただ『皇居(目的地)』に『進化剤』を設置してゴジラを『誘導』するならば、そこに二つの目的が考えられます。


 一つは『陸生動物(人)への進化』を誘導すること。

 ゴジラから『新人類』を誕生させたかった『牧悟郎』は、ゴジラと人類を遭遇させることによって、人類を模倣させたかったのかもしれません。


 もう一つは『ゴジラを進化させるための時間を稼いだ』ということ。

 急激な進化はゴジラの体が耐えられませんでした。そのため『進化剤』を分割して吸収させる必要があった。


 その二つの目的を達成するため、牧悟郎は『皇居』に『進化剤』を設置し、ゴジラを『誘導』したのではないか、と考えます。


 うーん、お遊びの仮説としては悪くないような。

 ゴジラの『誘導方法』と『進化剤』は別物であるという可能性も考えられます。要所要所に『ビーコン』のようなものを設置し、ゴジラの進路を制御していたという可能性もあり得るかと。ゴジラの進路を誘導する協力者がいたのかもしれません。

 

 そもそも『第0形体』が『東京湾』に生息していたとは考え難い気がします。

 ならば『ゴジラ』を移動させたのは『牧悟郎』だと考えられます。


 こう考えるなら、何かしらの『誘導方法』を持っていた可能性が高いのではないかナーと思います。


『ゴジラ』を『進化させる場所』として『日本』という陸地を選んだのは、けっして偶然ではないでしょう。


 なぜ『日本』が選ばれたのか、という疑問に対して『日本人への復讐』以外の理由が一つだけ考えられます。


 それは『日本が核を拒絶する国』だからです。

 これが『アメリカ』ならば、『核』を撃つのに躊躇いは無かったでしょう。


 もしかすると、世界中で『日本』という国だけが『牧悟郎の目的』を未然に防げる国として選ばれたのかもしれません。


『私は好きにした。君たちも好きにしろ』


 という言葉の裏には、まだ『君たち』に『選択肢』が残されているという意味があるように感じられます。


『牧悟郎』が選んだ選択肢とは『ゴジラを新人類へと導くこと』

 ですが、本当にその未来の望むならば、彼は『ゴジラを日本へと上陸させるべきではなかった』はずです。


 それでもわざわざヒントを残し、『核』に抗えるかもしれない日本という国を選んだ。それこそが彼の中にあった『二つの未来』のせめぎ合いだったのでしょう。


 『牧悟郎』が所有していた船には『春と修羅』という一冊の本が残されていました。これの解釈は小生には不可能であるため、放置していました。


 ですが、『牧悟郎』は多くの人々を巻き込む『修羅の道』を進んだとしても、その先にある『春』という新しい季節を求めたのではないでしょうか。


 未だに『核の時代』を乗り越えられない人類に対して、『牧悟郎』は一人の『科学者』として、もしくは『核の犠牲者』として、決断を下したのかもしれません。


 この文章を書きながら、小生はふとそんなことを思いました。

『牧悟郎』が懐いていた想いとは、『人類への絶望』では無かったような気がします。ただ彼は一人の人間として『世界の未来』を選択してしまった。


 それは『狂気』であり、『傲慢』であり、『希望』でもあります。

 一人の人間が背負うべきではないものを『牧悟郎』は背負ってしまった。


 それゆえに彼は『私は好きにした』という一言を残した。

 決断したでもなく、責任を全うしたでもない。

 ただ彼は好きにしたのです。


 だからこそ、この一言がとてつもなく恐ろしい。

 この言葉を残した彼は『人間』ではなく、人類に戦いを挑む一人の『修羅』となっていたのでしょう。


 ですが、彼にも人の心が残されていた。

 それは『妻』を想う気持ちだったのかもしれません。


 あの『折鶴』に残された願いとは、『計画の成功』ではなく、『現人類が正しき道を選んで欲しい』という最後の祈りだったような気がします。


 ゴジラに抗うために協力した人々の姿は、もしかすると彼が本当に望んでいた『未来の形』なのかもしれません。


 では、次回が最終回の一話前です。

『牧悟郎の正体』でお会いしましょう


<第十五回 完>

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