牧悟郎の目的(ハイパーネタバレ)
ヒントは少ないですネー。
作中で『牧悟郎』本人が登場することはなく、得られる情報も断片的、その中には登場人物の推測まで混じるのだ。
ふつーはこの辺りをもう少し掘り下げるものですが、『シン・ゴジラ』という作品では、この重要な部分をばっさりと切ってますね。『ゴジラサイド』の目的を曖昧にしたまま、物語は終わりを迎えます。
おそらく『製作者側』はこの謎を解かせる気は無いと推測できますヨー。
各自がそれぞれ勝手に判断しろ、ということである。
ならば、やってやるぜ!
小生の得意分野でございます。
妄想デスネー。
まずは『牧悟郎』の確定(伝聞)情報。
『唯一の救いである妻を放射性物質で亡くしている』
『(そのため)放射性物質を憎んでいる』
『放射性物質を無害化する研究をしていた』
『日本からアメリカへ行った』
『アメリカではゴジラ(放射能耐性生物)の研究をしていた』
『船の中に暗号化した研究成果と意味深な文章を残して、姿を消した』
次に推定情報。
『ゴジラを目覚めさせた(進化させた)』
『放射性物質を生み続ける人間を憎んでいた(矢口説)』
『妻を見殺しにした日本を憎んでいた(矢口説)』
『軍事利用を危惧して、研究成果を隠匿した(状況からの推測)』
『荒ぶる神(ゴジラ)を利用して、人類を試した(矢口説)』
こんな感じです。
『ゴジラを目覚めさせた』というのは確定情報にしてもいいぐらいですが、これも明確な根拠は無いので、いちおう推定情報ということで。ただここから先の展開は、『牧悟郎がゴジラを目覚めさせた』という前提で書きますので、ご注意ください。
まず最初に考えるべきなのは、『牧悟郎の目的』が『ゴジラを目覚めさせる』だけだった場合のお話。
この場合、彼の目的は最初の段階で終了し、『ゴジラが東京を目指す』のは『ゴジラ自身の意思』であると考えられます。
この場合、文章の意味は『私はゴジラを目覚めさせた。後は君たちがゴジラの処遇を考えたまえ』ということになります。ちょー無責任です。何がしたのかよく分かりません。
この状態のゴジラが『東京を目指す理由』を考え難いため、この仮説は却下します。たぶん何も無いならば、海の中で進化していくんじゃないでしょうかねかね。
次に考えるのは、『ゴジラが東京を目指す』のは『牧悟郎』の意思である場合です。この場合、『何らかの方法』で東京へと誘導していると考えられます。
その方法に関しては推測の域を出ないため、明言は出来ませんが、もしそんな方法があるとすれば、それも『アメリカ』から隠した『研究成果』の一つでしょう。
方法に関して考えても無駄なので、ここでは『なぜゴジラを東京に向かわせたのか』ということを考えて見ましょう。
まず一般的に考えられているのが、『牧悟郎』が『日本への復讐のため』に
『ゴジラを目覚めさせた』という仮説です。
これは推定情報の『妻を見殺しにした日本を憎んでいた』という情報を元にした仮設ですね。『ゴジラ』を『東京へと誘導する』ことによって、大災害を引き起こそうとしたわけです。
ここで更に一つ情報を追加しましょう。
『矢口 蘭堂』が『牧悟郎は何を好きにしたのだ?』と考える次のシーンで、『ゴジラの尻尾』が『ぴき』っと動きます。
物語的に考えるならば、『牧悟郎の目的』=『ゴジラの尻尾』となります。このとき意味が理解できなくとも、物語を最後まで見終えた視聴者ならば、それが何なのか理解できるでしょう。
物語の最後に姿を現した『存在』
あの尻尾にあった『ナニカ』
それはゴジラの『第五形態』であり、ヤマタノオロチの『天叢雲剣』でもある存在。それこそが『牧悟郎の目的』であったと考えられます。
つまり、彼の目的とは『ゴジラを第五形態へと進化させること』だったのではないか、と推測できるわけです。
この二つを併せた場合、『牧悟郎の目的』とは『ゴジラを第五形態へと進化させることによって、日本への復讐。もしくは放射性物質を生み続ける人間への復讐を果たそうとした』という仮説が成立します。
ここで更に発想を飛躍させます。
『牧悟郎の目的』がゴジラの『第五形態』だとするならば、果たして『ゴジラ』を『核』で倒すことができるでしょうか?
ゴジラを東京に誘導した場合、最終的に『核』が使用されるということは想定の範囲内でしょう。『第五形態』を誕生させようとする『牧悟郎』が、『核』で『ゴジラ』を滅却するという結末を想定していないとは考え難いです。
そして、『ヤシオリ作戦』というのは、彼の暗号化された『研究成果』を元に改良された作戦でした。こちらもおそらくは想定の範囲内だったと思われます。たぶん凍結させるという計画すら、想定していた可能性がありますね。
『牧悟郎』には二つの未来が見えていたのではないでしょうか?
『核』を使用した滅却か。
『研究成果』を利用した凍結か。
この二つの未来で実行が難しいのは、暗号化されていた後者の方です。
ヒントが残されていたとしても、あの暗号を解くためには閃きが必要なうえ、そもそも船に残されていた物が回収される保障すらありません。完全に博打です。
このことから考えると、本来『牧悟郎』が考えていた計画とは『核』が使用されるという結末だったのではないでしょうか。
そして、もう一つの道として『ヤシオリ作戦』に繋がる研究成果を残した。
成功する可能性が低い人類の希望として、僅かな可能性を残したわけです。
『私は好きにした』という意味は、『ゴジラに向かって核を撃たせる未来を選んだ』という意味であり、『君らも好きにしろ』というのは『研究成果を利用して、私の計画を止めてみろ』という意味だったのではないか、と考えます。
この場合、『シン・ゴジラ』のエンディングとして正しいのは『虚構エンド』となります。『核』を使用させたうえで、人類に更なる絶望を味あわせることこそ、彼の『目的』だったのです。
核を使用した場合、ゴジラは第五形態へと進化してしまいます。
そして、人類にとっての『シンの敵』となり、人類を滅ぼそうとする。
『核を撃つ』という『(ゴジラにとって)明確な敵対行為』を行なった人類を。
それが『牧悟郎』が好きにした結果なのかもしれません。
彼の持つ恨みの化身こそ『ゴジラ(第五形体)』だったのです。
その果てに何も残らなかったとしても、彼は『復讐の道』を選んだ。
妻を殺した人類という名の殺人者を皆殺しにする道を。
それが『シン・ゴジラ』という物語の始まりなのかもしれません。
<第十四回 完>
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