『カヨコ・アン・パタースン』というキャラクター(ネタバレ)

『シン・ゴジラ』の中でもっとも賛否両論のキャラクター。

 肩書きは『アメリカ大統領特使』


『カヨコ・アン・パタースン』というキャラクターに関しては、『石原さとみ』が演じたということが問題である、という意見がけっこう見られます。


 よく言われているのが、『キャラクター設定』と『演じる役者』が乖離しているのではないか、という問題ですが、過去の映画で『ローマ人』を『日本人』がやっている時点で、そういうものだと受け入れた方が吉でしょう。


 そもそも『カヨコ・アン・パタースン』というキャラクター自体が『虚構』側のキャラクターであると推測できますので、あまりきっちりと考えない方が楽しめるかなーと思います。


 小生の考えでは、作中の『アメリカ』という国自体が『虚構』ではないか、と考えています。『虚構』というか『記号化』ですかね。あくまでも『日本から見たアメリカ』というのが、『シン・ゴジラ』の『アメリカ』なのかなーと。


 その代表が『カヨコ・アン・パタースン』というキャラクターであり、アメリカが『虚構』ならば、彼女というキャラクターも『虚構』なわけです。もしくはその逆のかもしれません。どっちが先かは不明。


『日本(現実)』『アメリカ(半虚構)』『ゴジラ(虚構)』という関係性かな。

『日本』と『ゴジラ』を繋ぐのが、『アメリカ』と言えるかもかも

 今回の話とはズレていくので、ここでカット。


 最初の立ち位置は『日本(政府)をちょっと見下しているアメリカ政府関係者』。最初の登場シーンは、わざとやっているのか、本気でやっているのか、分からないので、解釈的にはちょっと難しいですね。


 彼女が『有能であると評価されていること』と『後のシーンの会話』などから推測すると、おそらく最初のシーンは『日本政府を試していた』という解釈が正しい気がします。試すなよ、というツッコミは禁止ですね(笑)


 アメリカという『公』のために動いていた彼女が、最終的には自分という『私』のために動き出すのが、『シン・ゴジラ』の中にある彼女の人間ドラマでしょう。


 彼女の決断はけっして『日本』だけのためでは無かったはずです。

『日本』と『アメリカ』という二つの国のことを想い、彼女は決断します。

 ここで彼女が『日系3世』であるという設定が最大限に活用されるわけです。


 多くの登場人物が自国のことだけを考える中、彼女は二つの国のことを考えたうえで、あの決断を下したのでしょう。自分のキャリアを(少しだけ)犠牲にしながら、それが正しいと信じたわけですな。


 その結果に関しては、また別の話で。

 次はこの物語の中で、最初から最後まで『現実』だったキャラクターのお話。


<第四回 完>

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