79話 ハーレム部隊?
レースゲームどころかゲーム自体あまりやったことがないハクトであったが、この突然開かれたゲーム大会では毎レース3位以内入賞という華々しい結果を残してしまい、一度も入賞できなかったアキナは終盤ふくれっ面になっていた。ちなみに、琴里はもちろんほとんど一位である。
「もう!せっかく遊びに来てやってんだから手加減くらいしてよ!」
……とハクトに言われても、ハクトはハクトで必死なのだから仕方がない。これでハクトが手を抜けば「納得いかない」とか言って怒るに違いない。女心というかなんというか。
「よっしゃ、じゃあそろそろお風呂の時間かな」
意外にもゲーム大会の終わりを切り出したのは琴里であった。プロゲーマーはプロらしくメリハリがしっかりしているのかもしれない。
「じゃ、先入ってるから」
「うん」
今日は琴里と一緒に入る日だった。琴里の悪戯は相変わらずで、毎度冷や冷やする。いや、逆に熱くなる。
「あ、そっか。お風呂が一つだから共用なんだ。ハクト~、もしかして女の子が入った後のお湯飲んだりとかしてない~?」
「ばっ!?んなことするわけないじゃん!」
アキナは焦るハクトを見て「うっしっしっし」と意味不明な笑い声を上げる。これでは琴里が二人いるようなものだ。
「いつもこうやって女の子に囲まれてるんだもんな~」
「しょ、しょうがないでしょ。僕が選んだわけじゃないんだし」
「でもさ、やっぱドキドキしちゃうことあるんでしょ?正直に言いなよ~」
「ない!ないったらない!」
――というのは嘘だが、それを認めたら自分が複数の恋人を持つような感覚になってしまうので、認めるわけにはいかない。
「そうだYo!ハクトはワタシたちとお風呂に入っても、チットモ気にしない。全然、ドキドキしナイ」
メッシャの援護射撃は見事なまでに弾が逸れ、ハクトの心臓を打ち抜いた。アキナはそれを聞いて目を丸くしている。
「まじで!?ハクト、メッシャちゃんたちとお風呂入ってんの!?」
「ちがっ……いや違くはないけど……そうじゃなくて」
「え、え、裸?裸なの?すっぽんぽん?」
「違うよ!タオル巻いてもらってるよ!」
若干一名、その約束を守ってないのは別にして、本来ならタオルを着けてもらう決まりになっているのは事実だ。
「驚いた……ハクトがそこまで積極的だったなんて」
「僕はこの子たちを妹だと思ってるから!そんなやましい気持ちは……」
「もうここ、『ハーレム部隊』に改名しちゃえばいいんじゃないの?」
「だから違うって!」
アキナのからかいは止まらない。ハクトの身体の火照りも止まらない。
……と、部屋の戸が開いてお風呂に入った琴里がもう出てきた。一糸纏わぬ姿で。
「今日シャワーだけにしたから早めに出たわ」
この後、アキナにからかわれ続けたのは言うまでもない
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