26話 本格的な戦闘準備
今日も昨日と同様、それぞれ武器の練習に明け暮れていた。ちなみに、例のコンクリート壁は全て徴兵された兵士たちが一つ一つ作ってくれてるらしく、ハクトはどうにも彼らに頭が上がらない。
ハクトもハクトで、ビームソードとレーザーガンの練習をしていた。普通の銃と違い、あまり撃った方に衝撃のないレーザーガンは初心者のハクトにとっては扱いやすかった。もっとも、一つ間違えるとどこまでも貫通してしまうので、出力は大幅に減らしてあるが。
お三方は武器の扱いに慣れてくると、飛行ユニットを使って空中からの攻撃も練習し始めた。踏ん張りが利かない空中では、地上とはまた勝手が違うのだろう。
しばらく練習した後、休憩していると、何やらエルが無線で誰かに指示をした。かと思えば、飛行場の一番端の方から大型トレーラーが走ってきて、ハクト達の前に停まった。その荷台には巨大な直方体の黒い物体が載っていた。黒い物体の上には斜めに他の四角い機器がついている。
「何これ……」
「これはTracking type ground-to-air interceptor missile(追尾式地対空迎撃ミサイル)、通称T-gam(ティーガム)だ。琴里の武器が戦闘機だけだと、戦闘機が戦闘不能になった場合にどうしようもないからな。予備として作ってやったんだ」
「ふーん」
琴里は興味があるのかないのかよくわからない顔をしている。
「すでに琴里の端末に設定してある」
エルがそう言って琴里の液晶をいじると、T-gamが突然モータのような音を立てて浮上し、琴里の後ろ50cm程度のところにピタリとついた。
「それと、キーボードの左右に別のタッチパネルを用意しておいた。パネルのカスタマイズは自由にしておいてくれ」
というエルの説明を聞く前に、既に琴里はいろいろといじり始めていた。
その後、琴里は新たな武器に慣れるために練習し、それに付き合う形で他の全員も攻撃演習を続けた。そして、練習を終えて部屋に戻ろうと研究室に入ると、何やら工事の作業員が数人いて、ハクト達が入ってくると軽く会釈をした。
「エルエール=バルルード様はいますか」
作業員がそう言うと、エルは作業員の元へ行き、設計図らしきものを見ながら何やら話している。そして、話が終わったのか、エルが居住スペースに戻ったので、全員後に続いた。
「これからしばらく、工事のために日中は煩くなるかもしれないが、まあ我慢してくれ」
「何を作るの?」
「緊急時にすぐ出撃できるようにする空間だ。ここからすぐに飛び立てた方が早いだろう」
エルの言葉でハクトはあぁ……と思い出した。そうだ、ここは軍隊、戦うことを目的とした組織だったんだ、と。
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