12話 兵器が完成したそうです
研究室に帰って早々、ハクトは目を丸くした。
机の上には金属(なんかどうかは定かではないが)製の流線型の機械が取り付けられたハクトのスーツが置いてあった。靴のようなものや足腰に付いているもの、肩や頭にまで機械が張り巡らされている。
「おう、帰ってきたか」
毎度の如くエルはコーヒーブレーク中だった。コーヒーのお供に沖縄名物のちんすこうをつまんでいる。
「何、この機械...」
見るからに重々しく危険か香りが漂っている。
「これは飛行ユニット兼防護スーツ兼攻撃アシストマシンだ」
いろんなものが兼ね備えられているのは分かったが、どれ一つとしてピンと来ない。
それを知ってか知らずか、エルはスーツの説明を開始した。
「足腰に付いている四角い機械はカバムニスチンを原料とする重力と窒素を利用した飛行ユニットだ。ホバリングするのに加え、体重移動で前後左右に高速で空中を移動することもできる。そして、腕とかに付いているゴムのようなものは粒子を発生させ、放射線で体を包み込むことで特例を除いて無敵化する」
相変わらず分からない物質の名前が出てくるうえに、言ってる意味がよく分からない。
「体に沿うように粒子の膜を作るんだ。機械に取り付けた人体センサーで体の形状を確認し、誤差なく体に密着することができる」
まあ今はエルの言葉に従うしかハクトに道は無いのであるが。
「じゃあ明日は飛行場で操作練習を行う。心の準備だけしておけ」
「へ?」
飛行場は本来個人使用禁止だが、大佐に何とか言ったのだろう。
当たり前のようにエルは言っているがそれの意味することはただ一つ。
「僕明日飛ぶのお!?」
「そりゃ、呼び出した三人が来るまでには慣れてもらわないとな」
三人が来るのは明後日の土曜日。
「ってことは明日しか無いじゃんっ」
「これだけ早くものが出来ただけでも感謝してもらわんとな。普通なら組み立てに二週間は掛かる代物だぞ」
そうは言われてもそこはハクトにとってはさして問題ではない。
「そう怯えなくても大丈夫だ。明日は地上近くをふわふわ浮かぶだけの予定だ」
「ふわふわね...」
その擬態語とはどうにも結びつかない目の前の機械を睨んでハクトは深いため息をついた。
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