家族の使える!日常会話☆

窓の月

第1話

とある深夜。


なんか腹が減ってきたなぁ、おいおまえ何か食べる物はないかい。


ええ、あなたカップラーメンが2つ程ありますけど、愛情の入ったカップメンとただのカップメンどちらになさいます。


おまえ、カップメンって時点で愛情なんか入ってやしないだろ。

これ食って早く死ねってんなら解るけどね。


バカだねぇおまえさん、何にも食べないよりも幾らかマシだろうって気持ちが愛なんじゃないかい。早く死ねなんて思ってやしませんよ。ふふふ。


ふふふじゃないよ。

もうなんでもいいから、早く持って来ておくれ。こっちは腹が減っているんだから。

ああ、それとね焼酎割るお茶も頼むよ。


もう、深夜だってのに、ホント注文の多い旦那だよ。早くくたばっちまえばいいのに。


ええ、何だって。

おまえ今なんか、くたばれって言わなかったかい。


大丈夫ですよ、愛情入りのにしときますからね。それでおまえさん、豚骨と味噌どちらになさいます?


愛情入りうんぬんよりねぇ、最初からそうやって言いなさいよ。味噌で頼むよ、ホントまどろっこしいねおまえは。


じゃあ、作ってきますからね、おまえ愛してるよおまえだけだよ、なんて甘い言葉をあたしに囁いて下さいまし。そしたら、喜んでお湯沸かしに行けますからね。


おいおい、勘弁しておくれよ。ちょっと湯を沸かすだけだろ、永遠の別れじゃ無いんだから困った奴だよ。


旦那、早く。


何。


お湯沸かしに行きませんよ。


解ったよ、愛してるよ。はい、とっと行ってきておくれ。


あんたそれじゃあダメよ。全く愛を感じないもの。それじゃあいけません。


愛してるよ、おまえだけだよ。


仕方ないねぇ、そこまで愛されちゃあ、行くしかありませんものね。今湯を沸かしに行って来ますからね。


おまえが言わせたんじゃないか。

ああ、めんどくさいのと結婚しちまったよ。


はいどうぞ、あなた愛情入りスペシャルセットですよ。召し上がれ。


スペシャルってツナマヨおにぎり付いてるだけじゃないか。


ええ、賞味期限が1日過ぎてて処分に困っていたんですよ。


それ、全く愛を感じないけどね。

出されりゃ食うよ俺はね。


ねぇあなた、美味しいですか。


うまいかいって、はらへってりゃ何食ったってうまいに決まってるだろ。

おまえも、一口食べたいのかい。


嫌ですよ旦那、あたしゃまだまだ長生きしたいんで、そんな化学調味料にたっぷり浸かった麺すすりたくなんかありませんよ。

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