第18話
「実は、学校やめることになってさ」
驚いて、彼女の顔を見返す。少しだけさびしそうな表情に見えた。
「あたし、お父さんとふたり暮らししてるんだけど、最近お父さんリストラに遇っちゃって。あの学校に通うには、とてもじゃないけどお金が足りないんだよ。元々あの高校嫌いだったから、転校することは別に構わないけど。次の学校では生徒のバイトが認められるから、あたしも頑張って稼ぐつもり」
何と言えばいいかわからず、そっか、と呟くように言った。さっきまで明るかった部屋に、暗闇が差し込んでいるように感じるのは気のせいだろうか。
私は生まれてこの方一度も、お金の心配をしたことがない。それが恵まれた環境であることを頭ではわかっていたつもりだったけれど、目の前の同じ年齢の女の子が直面している現実というものに圧倒されてしまう。
「あのさ。ごめんね、助けられなくて。」
驚いて顔を上げると、早坂さんは頭を下げられる。
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