第107話「ドMについて哲学的に考える」

「太郎、聞いてくれるかしら?」


「どうしたんですか、ユノ」


「最近、ドMについて哲学的に考える機会が多かったわけだけれど」


「普通に生活してたら一生涯に1度あるかないかだと思うんですが」


「そしたらね、人は皆ドMなんじゃないかって気づいてしまったの」


「はぁ、ユノがそう気づいた根拠はなんでしょう?」


「臭いものって嗅ぎたくなるでしょう?」


「まぁ分からなくもないですが」


「つまり、そういうことよ」


「…え、終わりですか?」


「終わりよ?」


「それじゃあ聞きますけど、ユノは僕の母さんの料理を進んで食べたいと思いますか?」


「無理に決まってるわ」


「臭いものは嗅ぎたいのに?」


「あれは性癖以前に生きるか死ぬかの問題でしょう」

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