第90話「ちゃんと沸騰してるじゃないのー」

「太郎ー、お風呂沸いたから先に入っちゃいなさい」


「え、僕が一番風呂でいいんですか?」


「別に気にすることはないから、さっさと入ってきなさいよ?」


「…分かりました、それじゃあ先に入ってきます」


 ーー


「…は? え、なにこれ」


 ーー


「ーーちょっといいですか、母さん」


「あら、どうしたの?」


「今日の風呂を沸かしたのは誰ですかね?」


「今日は私がお風呂を沸かしたわ」


「ゴポゴポ言ってましたけど、蒸気やばかったですけど、あれに入れって正気ですか?」


「ちゃんと沸騰してるじゃないのー」


「風呂は沸騰させるものじゃないんですよ」


「まぁまぁ、沸いてるのには変わらないでしょ?」


「それに入れるかどうかが問題なんですよ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る