第53話「煌めく汗は美しい」

「父さんってかなり鍛えてるから筋肉すごいですよね」


「いきなりどうした? 褒められても筋肉しか出てこんぞ?」


「…確かに筋肉しか出てきてませんね」


「ふっ…褒めるな褒めるな」


「いや別に褒めてないんでポージングを止めてください、暑苦しいんで」


「む、じゃあ止めるか」


「暑苦しいっていうか、本当に温度が上がってる気がするんですよね」


「そりゃそうだろうな、父さんが火魔法を使ってるからな」


「なんでそんなことするんですか」


「簡単だ。煌めく汗は美しい」


「それだけのためにわざわざ魔法を使わないでくださいよ」


「それだけじゃないぞ? 暖房魔道具要らずだ」


「父さん、どや顔してるところ悪いんですけど、もう春なんですよ」

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