ただスピードを競うだけではなく、チームで役割分担しながらトップ争いをするレースです。魔法の箒で空を飛ぶのは定番のロマンですが、この物語の場合はF1のマシンみたいに箒の構造と燃料と飛ぶコースがはっきりしていますので、そこに面白いギミックが生まれてきます。
たとえば、魔法の箒を飛ばすためのお薬にも合法と違法があって、合法なら普通の効果、違法だと一時的にブーストしますが最悪命まで失ってしまう。
この物語の登場人物たちは、いかに素早く魔法の箒でコースを制するかに文字通り命をかけているため、時には違法品に手を出してしまう人もいるのです。
主人公は読者と近い距離の人物です。過去や家族構成にもお話の中核となる因縁があるようですが、本人はまだまだ自分自身の隠れた才能に自覚がありません。しかしチームの才能のある人が気づいて、チームのレギュラーに抜擢することになります。
ですが、気づいていない人にとっては、主人公をレギュラーにすることが認められず、反発してチームを出ていってしまいました――ここで、さきほどの違法品の話と繋がってしまうのです。
どんなレースやロマンにも、人間関係のしがらみはつき物ですね。どうしてチームを出ていった人は違法品を使ってしまったのかは、あなたの目でたしかめてください。