じゃぱりまん

「スナネコさん。えーっと、緑色のポーチなかったかな?」

(多分持ってないわよね〜。そう簡単に見つからなないと思うし...それにしても、スナネコさん可愛い)

「これですか?」

「違う...⁉︎」


「おいおい。持ってる訳ないだろ?妹...⁉︎」

「それよ!やった〜!やった〜!スナネコちゃんありがとう!」

「妹、ちゃんは無いだろう。感情隠しきれてないぞ...それにしても何で持ってたんだろうな。そのポーチ」

「興味深いものが落ちてたので拾いました。でも、ぼくは砂嵐に飛ばされてしまいました」

「いくらなんでも、注意向けなさ過ぎだろう...もっと周りを警戒した方が良いぞ」

「あなたたちはちょっと面白いですね、良かったらうちに来ますか?」

「うち?」

うちって、どんなだ?枯葉の巣?木の上の巣?いや、だめだ。分からないな...でのも、食糧を分けて貰えるかもしれない。可能性に賭けてみるか...。

「妹、スナネコのうちに行ってみるか?」

「え?行って良いんですか‼︎本当に⁉︎もちろん行きたいですよ!」

「うわぁ、うるさいな。そんな大声で言わなくても分かるってば」

「じゃあ、ついてきてください」

とにかく、こんな寒暖差の激しい砂漠はどこか休める場所にいないと身が持たないし、それも考えて行かないとな。

「あ!スナネコちゃん!かばんさんって知ってる?」

妹が聞いた。あ、さん付けだ。

「しってますよ。そのひとたちもおもしろかったです」

妹は、かばんに興味でも有るのかな...?と、スナネコも知ってるって事はここを通ったって事か。とはいえ、その人達もフレンズなんだろう。なら、何かまともなものを食事を取っている可能性は薄いだろうな。この近くに普通の人間はいないのか?



「ここがぼくのうちです」

「はぁ...」

「うわーー!これ、スナネコちゃんのうち?」

俺のはぁは、まともなうちで良かったという安堵である。対して妹のはどうしてそんなにハイテンションなのか分からないがはしゃいでいる。軍に入っていたというのに、まだまだ子供だな。


俺も中に入ってみると、とても涼しかった。空気が穴の方向へと流れていくのを体全体で感じる。このような時が永遠に続けば良いのに。もっと奥に進んでみると先がある事に気がついた。

「これ...うちというより洞窟の入り口付近を住処にしているだけなのか...」


「じゃぱりまん食べますか?」

「お兄ちゃん、食べてみようよ!毒なんて入ってないから」

「その毒が入っていないというのはどっから出てきた自信だよ」

そんな俺の言葉を華麗にスルーしてじゃぱりまんとやらを手渡された。


「頂きます!」

そう言って妹が食べようとした。

その時、スナネコが

「これは、たべられませんよ?」

と周りの白い部分を指して言った。


スナネコの手には、楕円形にふっくらしたとても美味しそうな物が握られている。

「これは食べられない?」

「妹、多分こういう事だよ」

何か心配だったので実際に妹の前で、白く薄い物をビリビリと破ってみせた。そして、その光景に妹も、破っている俺も心の底から言った。

「「紙⁉︎」」

「嘘だろ。これ、ものすごく白いしこんなに薄い。どうやったらこんなものが...貴族でも持ってなかったようなはずだぞ、こんな紙...」

「紙ですか?」

「あぁ、紙というのは...なんと説明したら良いんだろう。俺もよく分かんないや。スナネコ。この奥の洞窟の先あるみたいだけど何か知ってるか?」

「奥ですか?ぼくはいったことないです。面白そうですね。いってみましょうか?」

「え、お兄ちゃん。ここってスナネコちゃんのうちじゃないの?」

「はぁ?」


妹が訳のわからないことを聞いてきた。いや、これは平常運行か...。忘れちゃダメだな。こいつがアホだという事を。

「いや、スナネコのうちで合ってるよ。で、本当は洞窟だってこと。これぐらい理解できるよな」

「何その言い方。まるで、私が分かっていないみたいに」

いや、分かってなかったよな。

「じゃぱりまん、たべないんですか?」

「あ、食べます」

「わたしも」


破った紙の中から出てきたのは、全体的に黄緑色っぽい色をした饅頭。そこに、シンボルのようなものが刻まれていた。何か、不思議な色をした食べ物だな...美味しいのか?なんて、思って高をくくっていた。


「なんだこれ⁉︎美味すぎる。俺のいた世界とは比べ物にならないくらいに!」

「こんな美味しい食べ物がこの世に存在していたなんて信じられない!」

「本当ですか?じゃぱりまん、おいしいですよね?」

「うん、まさかじゃぱりまんというのがこれほど美味いとは思わなかったよ。だけど...じゃぱりまん以外は何か食べてないのか?」

「食べてないです」

「え...うーん...もしかして、ここって俺たちがいた世界とは違う世界なのかな」

「そんなことも思いつかなかったの?」

「いや、思いつくも何も...信じられないだろ」

「私は最初っからそう思ってたもん」

「本当かよ」

「っと」


俺は洞窟の奥を見ていった。

「とりあえず、行ってみるとするか!」

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迷えるジャパリパーク 煜焔 @ni_wschk

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