食糧危機

「な!何だこりゃ...じゃんぐるちほーとさばくちほーの境目。なんでこんなふうになっているんだ?というか、こんなはっきりしているのか」


俺はぶつ切りのようになった気候の分かれ目を見て言った。土が徐々に乾いた土となり、植物が徐々に少なっていき、目の前に広がったのは飲み込まれそうになる程の一面の砂。


水なんて見えない。ただひたすら乾いた砂だ。そして、砂埃が舞い上がり容赦無く吹き荒れている。


「ここから先が本番か...やってやろうじゃ無いか...」

そして、ジャリっという音と共に俺たちは足を踏み出した。


今度こそ、何も無い大地だ。食べ物と水が尽きたらそれで終わり。生きていく術など無いだろう。昼の暑さと夜の寒さの寒暖差がじりじりと体力を削っていくだけだ。


「本当に何にも無いな。っ!砂が目に入るな...妹、なんとかならないかな」

「わたしの魔力にも限りがあるって、まぁ、はい。スパンス」

「おっ!」

すると、周りが見えないもので覆われた。これで、砂は入ってこれないな。

「あれ?自分にはかけなくて良いのか?」

「もうとっくにかけたもん」

「そうか。でも、ここ、砂以外に本当に何にも無いな。見ているだけで退屈だ」

「後ろ見れば?」

「後ろ...?」


妹の言葉通り後ろを振り向いてみると、さっきまでいたじゃんぐるちほーが見えた。そこに見える深緑は綺麗で、太陽も当たっていてキラキラと輝いて見え、退屈しのぎにはなったかな。


しばらく歩いていると、目の前に暗い影が見えてくる。それは天高く広がっていて、動いているように見える。

「あれ何だ?」

「っあ!あれは、サンドストーム!かなりの大きさだよ...こっちに来てる!逃げないと巻き込まれまれちゃうよ!」

「サンドストームって、lv.5の土魔法じゃねーか!何でそんな上級魔法がこんな所で...」

「サンドストームって言っても、あれは自然のものだよ?それにあれだけでかいと魔法だったらlv.6だと思う」


その後も走って挙げ句の果てにはフィジングまで使ってしまったが...砂埃を見て逃げ切れたと安堵する。


いや、でもあれだけでかいとなると無理もない。むしろ、頑張った!俺!


「あ、あれ?」

「どうしたんだよ?」

「わたしのポーチしらない?」

「ポーチ?お前戦いにポーチなんて持っていかないだろ。何言ってんだ」

「違うよ。植物を編んで作ったポーチ」

「あ、なんか作業してんなと思ったらそんなものを作っていたのか、しらない」

「え、でもそのポーチの中に林檎の種入れてるんだけど...」

「おい。今なんと?キノコは?」

「ポーチの中です...」

「えと...つまり食糧は...?」

「ぱー...です。何にも...有りませ...ん」

物凄く反省しているように頭を下げて謝ってくるものだからしょうがないかと言いたい所だが、これはそういうもんのレベルじゃない。俺たち、マジで餓死する展開だろ!


「で、謝っても何も始まらないよな。兎に角、どこで落としたか分かるか?」

「分かりまぜん...」

「もしかして、サンドストームに巻き込まれてるかも知れないな、とりあえず行ってみよう!」

「うん...」


そして、いざ来てみて分かった。周りは砂。砂。砂!こんなの分かるわけねぇだろ‼︎

「見つからないよね...」

あぁ、見つかる見つからない以前の問題だったな。探していると、何かを視界の端に見つけた。

「あれは...?」

「何?何?何を見つけたの?」

「いや、気のせいかも知れないけど...」

とにかく、見つけた所へ歩いていくー


「「え⁉︎」」

それが見たときに思わず口から出てしまった声だった。


「スナネコです」

「はぁ...どうも」

「シルエです!」

「は⁉︎」

前にいるのはさっきまで砂漠に倒れていた...というか、近づいた瞬間何事も無かったかのように立ち上がって来たのだが。


そして、急に妹が名乗りやがった。よく考えてみると今までに出会ったやつは皆、先に名前を言っていた。これも掟のようなものなのだろうか?


「おい、妹。何で急に名乗ったんだよ。相手が何なのかも分かんないうちに」

「お兄ちゃん、もうそれ良くない?だって今まであったフレンズ皆敵対意識持ってなかったよ?むしろ寛容的だし」

「...確かにそうだけど」

「お兄ちゃんもそろそろ名乗りなよ。武器も持ってないんだし」

「ちっ、分かったよ。俺はケイムだ」

「おぉ、ソレなんですか?」

「これか?これは、鉄製の剣だよ。別に普通...「そう」…だからって聞く気あるのかよ...」


関心あるんだか無いんだか...。って俺たちはスナネコを探してたんじゃなぁぁぁぁい!

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