試された実力
「あれ?どうしたの?もしかしてじゃぱりとしょかん知らない?」
「えっと...なぁ、教えて欲しいんだがここはどこだ?」
さっきも聞いたけど、念の為に聞いておいた方が良いだろう。安易に信用しちゃいけないしな。
「ここ?ここは、じゃんぐるちほーだよ。君達知らないで来たの?」
「じゃんぐるちほー?ジャパリパークじゃなくて?」
「え?うーん、ジャパリパークのじゃんぐるちほーだからジャパリパークでも合ってるよ」
ってことは、結局ここが何なのか分からずじまいか...
「あ!うしろ!セルリアン?逃げるんだ!」
「セルリアン?」
うしろを見てみると、其れは青くまるで水玉のように見えた。でも、目が付いている。魔物か⁉︎なんて大きさだ!急いで剣を出して切った。しかし、手応えは有ったのに切ったはずの場所は修復していく...間に合わない!
「んっ。風よ 敵を薙ぎ払え ウィンド!」
妹が風魔法を唱えた。ウィンドは強風を前方に出す魔法。近接であっても使える技だ。これには化け物も風圧によって後方に押し出された。
「今、何をしたの?せるりあんが手にも触れずに後方に...」
「これは俺の出番は余りなさそうだな...なぁ、ジャガー?だっけ」
「そうだよ。でも、あのサイズ...セルリアン自体この辺りに余り出てこないはずなのに」
「さっき攻撃したんだけど修復したんだ。どうすれば倒せるんだ?」
「セルリアンの石を見つけるんだ。それさえ破壊してしまえば倒れるよ」
「なるほど...魔核みたいなもんかな。それを破壊すれば良いらしい!」
「分かったよ〜!」
「石有ったよ!でも、ちょっとこれは無理かも...届かないし、良く見えないから当てづらいよ。
自分も見てみると化け物の頭頂部辺りに見つけた。でも、あれは確かに妹の位置からじゃ見えにくいな。
「俺も加勢する!シルエは、注意を引きつけてくれ!」
「了解!」
俺はこっそりと後ろに忍び寄る。この高さ...強化すればいけるだろうか。
「力の神よ 俺に力を与え給え フィジング!」
そう唱えると、自分の周りが鈍く光り、身体が軽くなる。
「うぉぉぉぉぉ!貫け!」
そう言いながら剣を石に向け放つ。その剣はすごい速度でピシッと音と光を出しながら一直線に石を貫いた。
その瞬間、周りにセルリアンの破片と虹色に輝く粒が辺りに弾けた。その様子を呆然と見ていた者がいた。そう、ジャガーだ。
「君達、ハンターだったのか?」
「ハンター?まぁ、ハンターと言われれば確かにハンターだったけど...」
「なんだ、そうだったのか。初めに言ってくれれば良かったのに」
「ジャガーの方は大丈夫なのか?」
「へーき、へーき!大丈夫だよ!」
「ねぇ、さっきのセルリアンって言うの?不思議な魔物だね」
「え?ハンターなら知ってるんじゃないのか?あれ?」
「え...」
沈黙する。あっ、また聞き忘れるところだったな。
「なぁ、いきなりだけどいつも何食べてるんだ?」
「え。うーん。この体になってからは別に食べなくても大丈夫になったから、しいて言うならじゃぱりまんくらいだよ〜」
「「食べなくても大丈夫⁉︎」」
またここで俺たちは驚くことになったのだった。いや、でも食べなくても大丈夫って驚かないやついるのかな...?
「え、なんで驚くの?」
「本当に何にも食べてないのか?」
「本当に〜?」
「本当だよ。というか当たり前の事じゃ...」
「当たり前の事、当たり前の...」
あ、さっそく食いしん坊な妹さんが意識飛んじまったな...って...マジですか⁉︎
「おい、妹よ、落ち着くんだ...食べ物がなければ探せば良い。豚や羊の1頭や2頭。これだけ広けりゃ絶対いるって」
「本当⁉︎」
「いや、分かんないけど」
「まぁそうだよね!きっと、絶対いるよね!」
「うわっ、いきなり明るくなりやがって...」
「ねぇ、今からどこに行くつもりなの?知らないみたいだし、ついてはいけないけど道案内ぐらいならできるよ」
そういえばこのままここにいるわけにもいかないしな。ジャガーが出てきたので忘れちゃってたけどこの橋を渡るつもりだったんだ。
「じゃあ、お願いするよ。助かる」
「えーっと、こっちがさばくちほーで、あっちがさばんなちほーだよ!」
「どちらにしろ嫌な予感しかしないが。食料...お腹が、これじゃあ遭難する前に餓死するな」
「そう。魔法で植物育てれば良いよ!」
「魔法で?肝心の種は?」
すると、ニヤニヤしながらポケットから黒い粒々を取りだす。
「っ⁉︎それ、なんで持ってんだ?一体どっから取ってきたんだよ」
「うーん、この前林檎出されたでしょ?それの種だよ?」
「確かに林檎出されたな。でも、種普通取っておかないだろ」
「え?」
「は?」
「あの〜、そろそろもどるよ...」
よく分かんない事を話していたからなのか、ジャガーさんは川に戻っていた。あーあ、とりあえず...さばくちほーに行くか。
俺たちはさっき行った道を戻りさばくちほーへと向かった。果たして、何が待ち受けているのだろうか...
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