空白


「お前の髪は、どうしてそんなにぼさぼさなの」

「は?」

「ぼさぼさですいませんね、これは、おれが色んなところに引っ掛けてぶちぶち千切れるせいでこんななってるんですよ」

「ふうん。切ったことはないの」

「何回か切られたことはありますよ。盗んだ罰で。でも、はさみの使い方もよく知らなかったんで、自分で切ったことはないです」

「ああ、だからあの子もあんなに髪が長いんだな」

「綺麗でしょう」

「本人は邪魔そうじゃないか」

「大丈夫ですよ。あの子はおれが長い髪が好きなの知ってるんで、切りたいなんていいません」


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