空白


 俺がミヒャエロを捕まえたその日に、ヨルダはケイッティオを連れて帰ってきた。

 あんなに頑なだった彼女を、どうやって連れてこられたんだろう。

 あんなに汚かった彼女を、どうやってあんなに小綺麗にしたんだろう?

 彼女は袖のない、真っ白な服をたった一枚まとって、硝子の靴を履いていた。

 あなた、あの童話好きでしょう、とヨルダは悪戯が成功したような顔で笑って言った。

 あんな、危ない靴を履かせるなんて。

 あれは御伽噺だ。

 こんなに日差しが痛いのに、

 あんな格好で外を歩かせるなんて。

 ケイッティオの白金のような髪には、金色の砂がたくさんまとわりついて、蜘蛛の巣に引っかかった雫のようだった。

 俺がその髪に触れると、彼女は逃げるようにミヒャエロの背に隠れた。

 ミヒャエロはその髪を優しく梳いてやっていた。

 何をどう考えたら良いのか、わからない。



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