空白

【使徒が行方を眩ました。恐らく脱走したものと見られるが】

【こちらも同様だ。彼らは我々人類をお見捨てになったようだな】

【使徒とは言え、先代のアルケミストが発明した唯のがらくたではないか。世界を救うとは名ばかりで、一向に世界は元に戻らない。人の死が減ったわけでもない】

【ただ徒に土地を破壊しただけのようなものですな】

【彼らがこの地に現れてからというもの、天災に幾度も見舞われた。いい迷惑だ】

【しかし、これは忌々しき事態でありますぞ。彼らが我ら人類と道をたがえたということは彼らは我らの敵も同然】

【然り。以前からあの気味の悪い力は気に食わなかった。大体夢想家のアルケミストが作った玩具など、胡散臭いにもほどがあろう】

【あの力を我々人類に向けられては危険ですぞ】

【否。よもや、あれは正しく兵器よ。人類を救うとは戯言。人類を滅するために作られたに相違ない】

【違いない、違いないぞ】

【どうしたものか】

【ふん、簡単なことよ。あれもただの絡繰り、人の手による機械だろう。ならば我らの軍事兵器もその威力は引けを取るまい。破壊しつくせばよいこと】

【人の手に負えぬ兵器など人類に必要ない】


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