3-9:ミライ3&マモリ3&ライチ3

「”彩厄カラミティ”は、起こったらもう”漂白者ブリーチャー”じゃないとなんとかできないんじゃないでしたっけ?それを僕達が止めることができるんですか?」

ミライの疑問はもっともだ。通常の”彩厄カラミティ”であれば、黒がすべてを飲み込み、もはや為す術はなくなる。


「今回は、なんとかできる可能性がある。いいかい?ヨーイチはキミの力を必要としてる。その力が揃って初めて、完全な”彩厄カラミティ”が発生できると考えられる。つまり、まだ”彩厄カラミティ”は厳密には発生していない」

「たしかに、”彩厄カラミティ”だったら公園に行ったアタシが無事じゃすまないはずだしね」


「とはいえ、それも時間の問題だ。ヨーイチがしびれをきらせば、魔法空間を公園からより大きくする可能性だってある。魔法空間の大きさは、それがそのまま魔法使いの魔力に直結すると言ってもいい。叩くなら今ということだ」


ミライはしばし考え、そして、考えあぐねた。

「約束したのは、僕じゃなかったんですよね……」

「たしかに、そのようだったが、まさか……」


「はい。あの、僕がリッカを助けるのって、いいのかなって。約束したのはヨーイチなんだし……。もし、もしもリッカが悪い魔法使いになっちゃったら、僕が倒すのは、いけないことなんじゃないかって……」


「アンタねえ、いまさらそんなこと」

「まあまあ。たしかに、ミライ君の言うことは、そのとおりかもしれない。約束したのはヨーイチだ。だったら、ヨーイチに任せておくべきだと」

「やっぱり、そう思います?」


「でも、キミは、リッカちゃんを助けたくはないのかい?」

ライチはミライの目を見つめる。

「助けたいけど、でも……悪い魔法使いになっちゃったら……」

「リッカちゃんが、悪い魔法使いになっちゃうと思う?」

「それは……そんなことは!」


「そうだ。キミがやるべきことは、リッカちゃんを助けることだ。悪い魔法使いになっちゃう前に、ね」

「そーそー!ヨーイチとか言ったっけ?黒魔法使いになったやつに任せるなんて、いいことなんてそうそう無いからね。ミライは今まで通り、リッカちゃんを助けてあげればいいってことよ!」


「……うん。わかった。わかったよ。ふたりとも、ありがとう。行こう」

ミライは覚悟を決めあぐねていたが、それでも口に出した言葉は前向きだ。

「そうと決まれば、それぞれ”彩式クローマット”を用意してくれ。魔力はアトリエにあるものを使っていい」


……3人は”彩式クローマット”を用意し、リッカの家へと向かった。

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