2-9:ミライ3&マモリ3&ライチ3
ミライが記憶を取り戻した翌日の昼休み、4人はいつものように美術室に集まっていた。ミライは早速リッカに話した。
「……というわけなんだよ」
「でも、それってなんかへんじゃない?」
マモリが珍しく何かに気がついたようだ。
「変ってなにが?」
「いやさ、その約束って、ずっと昔のことなんでしょ?5歳か6歳かくらいの。その頃から悪い魔法使いのことを知ってたってことでしょ?リッカちゃんは本当に何も覚えてなかったの?」
「そ、それは……」
戸惑うリッカにミライが助け舟を出す。
「それは呪いとかがあるってリッカに聞いたけど」
「呪い、か」
ライチがその言葉に反応する。
「自分の存在を知られないように記憶に干渉するというのは、黒魔法使いの使う魔法の一つでもある。だから、リッカちゃんが呪われているというのは可能性としてはありうるからね」
「ふーん……」
「しかし、そうなると厄介だ」
「なんで?まだ呪いが解けてないから?」
「まあ、それもそうだ。そもそも、黒魔法使いの掛ける呪いは強力で、心理世界の何処かでずっと隠れて息を潜めている。厄介なのは、その呪いが時限式だった場合だ」
「その、時限式だったばあい、リッカは……」
「どうなるかはその魔法しだいさ。ただ、悪いことが起こるのは間違いない」
「だから、そうなる前に、呪いを解除する」
「それは、私の心に入るってことですか?」
リッカは不安そうだ。
「そういうことになる。……やっぱり嫌かな?」
誰だって自分の心を覗かれるのは、多かれ少なかれ嫌なものだ。
「はい……でも、それしか方法がないなら、私は大丈夫です」
「それに今回もアタシ達が一緒だしさ!安心してよ!」
マモリの根拠のない自身は、こういう時には輝く。
「僕も、がんばるよ。約束を守らせてほしいんだ」
「ミライ君……ありがとう……」
リッカはミライの手を握った。
「よし、そうと決まれば行動は早い方が良いけど、準備も必要だ。これから俺が”
今日は金曜日、明日はちょうど学校が休みだ。
「”
「そういえば、ミライ君にはまだ説明していなかったね。この前キミに渡した俺の魔法は覚えてるかい?」
「はい。結局使わなかったんですけど……」
「なに、それだけ無事に終わったということだ。で、”
「それじゃあ、いっぱい用意しておけばそれだけいいってことですか?」
「そーいうわけにはいかないのよね。”
「マモリちゃんの言うとおりだ。だから、どんな魔法を”
「ま、アタシはいつもどおりのブースト魔法にしちゃうけどね。使いやすいし」
マモリがそう言うと、黄色のビー玉を2つ取り出した。
「ミライ君、マモリちゃんがやるのをよく見てみるんだ」
ライチとミライとリッカがマモリの手元に注目する。
「いや、そんなに見られるとなんつーか、恥ずかしいな……まあ、いいや。よーく見てろよ!」
マモリは左手の掌に黄色いビー玉を2つ乗せ、呪文を唱える。
「”威力拡大『活性』強化”……」
マモリはビー玉が光るのを確認すると、すぐさま右手で蓋をして呪文を続ける!
「……”『磁力』吸着『活性』封印!”」
マモリはビー玉を圧縮するように力を込める!
「ぐぬぬぬぬ……!」
数秒たったか、光が消え、マモリが掌を開くと、そこには黄色い光を放つ1つのビー玉があった。
「どーよ」
マモリは得意げだ。
「これが”
「それって、もちろん心理世界にも持ち込めるんですよね?」
「鋭い指摘だ。確かに持ち込める。だからこういう時、つまり時間に余裕があるときとか、危険が迫っていることがわかっている時に用意するわけさ」
ライチはさらに説明を続ける。
「魔法を止める方法は人それぞれだ。マモリちゃんは『磁力』の引き合う力をイメージして止めたんだね。俺は『停滞』が使えるからそれで止める事が多いけど、ミライ君ならどうする?」
ミライはしばし考え、答えを出した。
「……『水』で凍らすとか、『記憶』で思いとどまらせるとか、ですかね」
「うむ。素晴らしい発想だ。それなら大丈夫だろう。リッカちゃんも念のため準備しておいてくれないかな?」
「はい。わかりました」
リッカが頷く。
「よし、それじゃあ今日は解散だ。ミライくんとリカちゃんは、どんな魔法を”
ライチの言葉でその日は解散した。
……そして翌日、ライチのアトリエ。いよいよ染戦が始まる。
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