2-7:マモリ2

カキネとの染戦から数日間、それぞれに特に大きな動きはなかった。カキネは保健室の先生として過ごし、黒魔法使いもマモリの前に姿を見せることはなかった。ならば、これは自らを鍛え直す良い機会でもある。


ある日の放課後、マモリは家に帰ると、久しぶりに瞑想し、自身の心理世界へと入っていった。


マモリが目を開くと、そこは剣道場のような巨大な道場だった。目の前には、赤黄色に輝くマモリが立っている。

「さあ、久しぶりにやろうじゃないの。アタシに新しい力を見せてよ」


赤黄色のマモリは頷くと、右手を突き出した。全身が黄色く輝くと、聞き取れないほどに小さな声で呪文を唱えた。

「さあ、何が来る……?」

マモリが身構える。


突如、後方からマモリに襲いかかる者あり!

「後ろか!」

鎧の音を察知して振り返り、即座に距離を取る!マモリに襲いかかったのは、道場に飾られた鎧具足一式だ。もちろん刀も持っている。


「なるほど、操る系の言葉ってわけね。でも、『活性』はもう覚えた。ということは?」

マモリがつぶやきながら間会えている間にも、鎧はマモリに斬りかかる!マモリは斬撃を避けて後ろに回り込み、呪文を唱える。

「ええい!”身体『活性』腕力強化!”」

黄色いビー玉を握りしめた拳が輝き、鎧の頭を殴り飛ばす!


マモリと魔力の対話は、ミライのそれとは大きく異る。魔力が見せてみて、マモリが真似る。身を持ってその力を理解して、感覚で覚えるのだ。


殴られた鎧頭部が赤黄色のマモリに向かって吹っ飛ぶ。このまま直撃か?いや、ふっとばされた頭部はまるで引き戻されるように胴体に戻ってきて一体化したのだ。


「もういっちょだ!”身体『活性』腕力強化!”」

再び黄色いビー玉を握りしめた拳が輝き、今度は鎧の腕を殴り飛ばす!だがしかし、刀ごと吹っ飛んだ腕もまた、引き寄せられるようにもとに戻るのだ。


「ははあ……わかった!これだ!」

マモリは黄色いビー玉を取り出すと、再び呪文を唱える。

「”『磁力』反転傀儡横転!”」

ビー玉を鎧の足に叩きつける!鎧の足は大きくふっとばされ壁に激突!そして戻ってくることはなかった。


「『磁力』だな」

マモリがそう言うと、赤黄色のマモリは頷いた。

「よーし、それじゃ早速特訓だ!」

マモリが磁力を使いこなすための特訓は、この後もしばらく続いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る