stage7



「ねえ、君たち」


その声に振り返ると、そこにはメガネが似合う女性がいた。


「私、大葉陽子って言うの。」


にっこりと笑う女性、陽子さんはそう言うと俺と和恋ちゃんの元ににじり寄ってきた。


「ねえ、君の名前は?」


少し吐息混じりの声を俺の耳元で聴かせる陽子さんに少し後ずさりながら、答える。


「お、俺は紀大って言います…」


「へぇ、で?その隣の可愛らしい子は?」


和恋ちゃんがビクッと身体を強ばらせて、和恋です…と答える。


「和恋ちゃん。可愛い名前ね」


陽子さんは笑いながらそう言った。


「ここにいる人達全員の名前も聞かなきゃだし、ここは一緒に行動しない?」


そう言うと陽子さんはくるりと後ろを振り返り、近くにいた黒髪の男の子に話しかけた。


「あなたの名前はなんて言うの?」


「え!?ぼ、僕?」


前髪で顔を隠しているが、綺麗な顔をしている男の子はキョドりながら声を出す。


「陰山出水……です。」


「そう♡」


陽子さんの目が妖しく光った。


後ろでは和恋ちゃんが、俺の服の裾を、さっきよりも強く握っていた。


「私、あの人のこと………知ってます」


小さい小さい声で、そう言った和恋ちゃんの顔は歪んでいた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夢喰い らうぶ @nenegyo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ