stage6

「げーむぅ?」

衣都覇が訝しげに空の声に言う。

「あはは。謎は自分達で解いていってよ。……あの子から逃げ切れたらね」

意味深なことを言って声は聞こえなくなった。

「ど、どういうことだよ!!!」

フードが付いた服を着た男が悲鳴にも似た声を出す。

だが答えるものは何も無い。

項垂れるフード男を見て、

俺は思いきって、呼び掛けた。

「あ、あの!とりあえず集まりましょう!」

「そうだねぇ~それが得策だよ」

衣都覇がにやにやしながら寄ってくる。

それを見た何人かも近寄ってきた。

が、

「あんた馬鹿じゃないの!?」

甲高い女の声がそれを遮る。

見ると、女はさっき首が飛んでいった男の隣にいた人だった。

座り込んで俺に叫んでいる。

「人が死んだのよ!?何平気そうな顔してんのよ!!!!!!!」

髪を振り乱し女は続ける。

「他の奴らもよ!!!!!!!こんな餓鬼にノコノコついて行って!!!!!!!馬鹿じゃないの!?あんたら人じゃ無いわよ!!!!!」

「…………あらら。言っちゃった。」

くひっ、と衣都覇が笑う。

さっきのフード男がズカズカと女の近くへ寄っていく。

体格が良い訳では無いが長身なフード男が目の前に来たら相当な迫力があるだろう。

ましてや、腰が抜けて立てなくなった

女からしたらたまったもんじゃ無いだろう。

「な、何よ」

それでも食い気味にフード男に突っかかる女にフード男は手を振り上げた。




「…………っ!!」




ぽんぽん、とフード男が女の頭をさわる。

「え?」

「あんたが言ってるのはご最もなことだ。人が死んだことに対して誰も何も言わねぇんだもんな。あんたからしたら心に傷が出来るようなことだったよな。」

フード男がそう言ってまたぽんぽんと叩くと、女は糸が切れたように泣き出した。

と、後ろに引っ張られる感じがして振り返ると、小刻みに震えている和恋ちゃんがいた。

「……どうしたの?大丈夫?」

「…………」

声も出せ無いのか、ただ俺の服を握っていた。

「あはぁ。和恋ちゃんは怯えてんだねぇ。」

震えている和恋ちゃんに衣都覇が意地悪く言う。

「確かにあの首飛んでくのは子供にはキツいかもね~」

「おい、衣都覇、止めろ」

「んん~?そういえば紀大君は怯えて無いね?タフにも見えないし……何でぇ?」

衣都覇が俺の顔を覗き込みながら聞いてくる。

嫌でも衣都覇の整った顔がチラつく。

「………俺は、同じような所を見たことがあるから」

「あはぁ。やっぱりぃ?」

にたぁあ、と笑い衣都覇は言った。

「……………」

黙りこくってしまった俺と和恋ちゃんに衣都覇は興味を無くし、泣き終わってフード男といい雰囲気の女の所へ向かっていった。



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