パートナー

翌日の朝、波留子は七時前に目が覚めてしまった。隣で眠る仙の顔を愛しげにみ眺めた。➖仙、私はいつまで貴方を満足させてあげられるだろう。いつか、私に満足出来なくなったら、‥でもきっと貴方は私に気を遣って言わないんだろうな。それでも私にはきっと分かる。愛してる仙。十八も歳下の男にこんなにのめり込むなんて‥バカだ➖そっと仙の髪に触れてみた。眠っているその整った顔に触れてみた。➖バカで上等、私は仙が好き。世界中の誰よりも仙が大好き➖

「うん、波留子⁉︎ おはよう。」

「おはよう仙、世界で一番、貴方が大好き。」

「波留子、泣いてたの。」

「泣いてないよ。仙の綺麗な顔見てただけ。」

「クスッ、嘘ついても駄目だよ。涙の跡が‥何にも心配要らないよ。俺の気持ちは変わらないから。波留子は『輪廻転生りんねてんせい』って信じる?」

「えっうん、信じる。私は信じる、というか信じたい。」

「そっか。俺は信じてるよ。以前は懐疑的だったんだ。けど、初めて波留子を見たあの時、にこやかな顔してるのにどこか悲しげな顔を見た時、あゝやっと見つけたって思った。俺の中でずっとずっと昔、俺が生まれるより前から逢いたくて仕方なかった相手にようやく逢えたって気がして、俺はこの人の悲しみを消す為に、この人を幸せにする為に此処ここにいるんだって瞬間的に思えたんだ。この気持ちは何なんだろうって、あれからネットや書物で調べたんだ。それで一番ぴったりだったのが輪廻転生だった。あゝそうか、って何故かすんなり納得出来た。きっとさあ、俺と波留子はずっとずっと昔理不尽に引き離されたんだよ。だから今までずっと生まれ変わって探してたんじゃないかなあ。で、今この時代にやっと逢えたんだ。夢物語に聞こえるかもしれないけど、俺はそう信じてる。そうでなきゃ波留子の考えてる事や感じる想いがこんなに分かる、っていうか感じ取れる訳ないだろ。だから波留子がもしも変な心配してるなら大丈夫、俺の波留子への気持ちは変わらないよ。きっと俺と波留子の魂は一つなんだ。そう思わない⁉︎ このマリッジリングのトパーズみたいにさ。だから心配なんてしなくていいよ。」

➖そうか、この人は私のことそんなふうに想ってくれてたんだ。そう想うと、こんなに若い仙に対して不思議と歳下だからという不安を感じないことも、仙のぬくもりに懐かしさを覚えたことも納得出来る➖優しい眼差しで波留子を見つめている仙に波留子は笑顔で言った。

「ありがとう。」

仙は波留子に優しくキスした。

七時過ぎ、ベッドを出て熱いシャワーを浴び、身支度を終えた時、慎から電話が掛かってきた。

「今朝、爺ちゃんの部屋で皆んなで朝食取らないかって誘われてるんだけど、どうする。新婚カップルを誘っていいもんかどうか迷ってたから俺が電話したの。」

「ハル、皆んなで朝食だって、行くでしょ。」

笑顔で頷く波留子を見ながら、

「行くよ。何号室。‥分った、十分後に行くから。」

そう言って電話を切った。

悠介の部屋も仙達と同じくスイートルームで大きなダイニングテーブルでは正月のパーテイー以来の面々が和気藹々と食事を待つ姿があった。ルームサービスの朝食が用意され皆んなで食事を始めて少しすると、

「食事が済んだら皆んなで礼拝に行くんでしょ。」

怜がそう言うと波留子が、

「あら、式を挙げる人は行かなきゃいけないけど他の人は別に必要ないんじゃない。」

「えゝ嘘、私達だけで行くの。お母さん昨日お世話になったじゃない。」

「お母さん脚痛いしなあ。」

「そんなあ。」

「大丈夫だよ怜ちゃん。ハル、今日の主役をいじめちゃ駄目だよ。皆んなで行くから、心配しないで。怜ちゃん揶揄からかわれただけだよ。」

「あゝもう、またやられた。意地悪!」

遣り取りを見ていた皆んながどっと笑い出し、怜も釣られて笑っていた。

「そしたら礼拝後怜と優弥さんはそのまま教会に残るのよね。」

凛にそう言われ、

「そうか。じゃあ着替えとか持って行かなきゃいけないんだ。」

「着替えって、怜、まさかドレスやタキシード持って来たの。」

波留子の問いに頷いて見せる怜。

「じゃあ、帰りはうちの荷物と一緒に送る手配するよ。持って帰るんじゃ大変でしょ。」

仙がそう申し出ると怜も優弥も喜んで、

「有難うございます。」

二人仲良く頭を下げた。

午前中の礼拝が済むと怜達は慎に通訳を頼んで教会の係の元へ行き、波留子と仙は昨日の御礼を言いに牧師の元へ出向いた。松葉杖をつきながら歩く波留子を見て牧師は昨日はドレスで大変だったのではないかと案じてくれた。波留子は仙が抱いてくれたお陰であまり歩かずに済んだので大丈夫だったと話し、パーティでダンスが出来ずに残念だったと言った。また、牧師夫妻にパーティに出席して頂けなかった事が残念でならなかったがお仕事では仕方ないと諦めたが残念だった。また昨日に続き今日は自分の娘が此方で式を挙げさせて貰うので宜しくお願いしますと頭を下げた。牧師は優しい笑顔で親子が二日続けて結婚式を挙げるなどこんなめでたい事はこの教会始まって以来でとても喜ばしい事ですよ、と心から喜んでくれたので波留子も仙も嬉しくなった。


礼拝後、怜達をそのまま教会に残して波留子達は着替えの為一度ホテルへ戻った。部屋に戻ると波留子は少し悩んだ後スーツを取り出しベッドに広げた。寝室に入って来た仙がそれを見て、

「ハル、まさかスーツ着るつもり。」

「うん、だってまさかこんな事になるなんて思いもしなかったからワンピース持って来なかったの。」

「スーツ、しかもビジネススーツでしょ、それ。未だ時間あるからワンピース買いに行こう。」

「へっ?」

波留子が驚いている間に仙はもう電話を掛けていた。

「あ、もしもし慎。波留子が結婚式に参列するような服持って来てないんだ。何処かワンピース買える店知らない。‥あゝ、うん、分かった。じゃあこれから直ぐ出るから連絡しておいて。頼むよ。」

「あの、仙。」

「波留子、行くよ。時間ないから。」

いきなり波留子を抱き上げるとそのまま部屋を出てエレベーターでロビーへ下りロビーを横切りポーターを待たずに駐車場まで一気に進み波留子を車に乗せると飛び出した。日曜日の朝の道路は空いていた。

「仙、何処へ行くの。」

「ドレス買った店。ワンピースも有るって言うから慎に連絡入れておくよう頼んだ。幾ら何でも波留子があのスーツじゃあ怜ちゃん可哀想だよ。だから黙って俺の言う事聞いて。」

仙の勢いに気圧けおされて頷くだけの波留子だった。

店に着くと店のオーナーがドアを開けてくれた。慎から事情を聞いていたらしく店内にはワンピースがハンガーにずらっと並べられていた。あらかじめ用意しておいてくれた事に仙は礼を述べると波留子に、

「波留子自分で見てみる。」

「ええ。でも一人で探してたら時間掛かりそう。仙も見てくれる。私に似合いそうなのを選んで。但し、時間ないから三着まで、ね。」

「分かった、任せて。」

二人でワンピースを探してお互い三着ずつ手にしていた。その六着を一列に並べて見較べてみた。

「波留子時間ないからゆっくり見てられないよ。着ないな、って思う物ある?」

「うーん、これは素敵だけど私は着ないな。あ、後これとこれもあんまり着ないかな。なんだ、自分で選んだの一枚で後二枚は仙が選んでくれた服か。」

「よし、じゃあその三着の中で今日の式に着て行こうと思う服は。」

「うーん、此れかな。」

仙も暫しその服を見つめながら思案しているようで頷くと、仙がオーナーに指示して波留子が選んだワンピースに着替えさせ、そのワンピースに合うように小物を選び、ローヒールのパンプスを合わせると波留子の身仕度は完成していた。仙は波留子が最終的に選んだ残りの二着のワンピースも一緒に買い上げ、カードで支払いを済ませると荷物を店員に車まで運ばせ仙は波留子を抱いて車に戻りホテルへと急ぎ戻った。ホテルの前に到着すると慎が待っていた。

「皆んなに先に教会へ行って貰ったよ。わあ、ハルコ、凄く似合ってる。じゃあ、行こう。」

「あ、松葉杖。」

「えっ⁉︎」

「さっきお店行くのに仙に抱いて貰っちゃってたから部屋に置きっ放し。あっ仙、それに貴方未だ着替えてないわよ。」

「あっ忘れてた。すぐ着替えてくるから待ってて。」

言うが早いか仙は車を降りて凄い勢いでロビーを走り抜けて行った。そんな仙を追い掛ける何人かの女性の視線がある事に波留子は気付いた。

「仙の事見てる女性が結構いる。本人に意識がないから仕方ないけど、目立つのよね。」

「何言ってるのハルコ、自分の姿見てみた。昨日のハルコ本当に綺麗だったけど今日のハルコは大人の女って感じの魅力に溢れてる。こんな素敵になっちゃって、仙が自分の着替えを忘れちゃうのも頷けるよ。」

「何言っちゃって、マコちゃんお世辞言ってもダメよ。」

「お世辞じゃないよ。ハルコちゃんと鏡で見てみた。」

「時間なくてバタバタしちゃってよく見てないんだ。後で見てみるよ。」

「はあ、自意識のなさは仙の上を行くよ。」

「え、何か言った。」

「ううん、なんでもない。」

慎は飽きれたように苦笑いするのだった。十分も経ったろうか、着替えを済ませた仙が松葉杖片手に戻って来た、行く時同様ロビーを颯爽さっそうと走り抜けて。

「波留子、お待たせ。松葉杖持って来たよ。この格好でエスコート役大丈夫かな。」

「あ、有難う。大丈夫決まってる。スーツ姿の仙ってホント格好良いんだ。」

「波留子の方が素敵だよ。」

座席に座りシートベルトを締めながら仙は波留子にキスした。

「あゝまた。時間ないんだから安全運転で急いでよ、仙。」

毎度のキスに呆れながら慎がそう仙をかしやっと車は出発した。

教会に着くと今度は快斗がチャペルの前で仙達の到着を待ちびていた。

「あゝ良かった、間に合わないんじゃないかって心配したよ。ハルさん、今日はシックだね、素敵だよ。」

慎の手を借りて車から降り立った波留子を前に快斗が波留子を絶賛した。

「有難う、快斗。私の服選んでて遅くなってしまったの、ごめんなさい。未だ娘に会いに行ってもいいかしら。」

「あ、うん。昨日と同じ控え室だよ。」

「マコちゃんは行く?」

頷く慎。

「じゃあ三人で行きましょう。」

そう言った波留子をまた仙が抱き上げ、慎に松葉杖をたくして控え室へ急いだ。控え室の前で波留子を下ろすとドアをノックして波留子が声を掛けた。中からどうぞ、と言われドアを開けると昨日の波留子と同じようにウェディングドレス姿の怜が波留子とは反対に鏡の中の自分に見惚みとれつつスツールに腰掛けていた。そして直ぐ側にはそんな妹に呆れたような表情を浮かべ立っている凛がいた。

「遅くなってごめんなさい。」

そう言って入って来た波留子達を見た凛と怜は、

「わあお母さん、今日もまた素敵。」

と思わず知らずハモっていた。

「何言ってるの。怜の方がずっと輝いてる。とっても綺麗で可愛いわ。」

「うん、やっぱり親子だなぁ。昨日の波留子と何処となく似てる。怜ちゃん可愛いよ。」

「やだ、仙さんにそう言われると何だかそんな気になっちゃう。」

「姉さん綺麗だよ。チャーミングって言った方がいいかなぁ。素敵だよ。」

「あら、慎君までそんな事言って。でもそうかな、満更でもない⁉︎」

「さっきから自分で鏡見ちゃこればっかり。あれこれ手を加えてるんだから綺麗で当たり前でしょ。まあ昨日のお母さんには負けるかな。」

「ちょっと凛、そんな事わざわざ言わなくても分かってるんだから止めてよね。」

「おめでたい日に喧嘩しないの。」

「うん、じゃあ、今更だけど一応挨拶させて。お母さん、長い間私達のために随分我慢させちゃってごめんなさい。でもお母さんがやっとやり直そうって思った時に仙さんみたいに素敵な人と巡り会えたのは神様からの御褒美だよ。誰にも遠慮しないで幸せになって下さい。私もお母さんに負けないくらい優弥と幸せになるから。」

「有難う怜。私とあなた達の父親が良い手本になれなかった事を許してね。でもこれからはあなた達に負けないように私も仙やマコちゃんと幸せになるからね。今までいっぱい心配掛けちゃって悪い母でした、ごめんね。夫婦だからこそ、お互い何でも話し合って良い夫婦になってね。」

仙がそっと波留子にハンカチを渡してその肩を抱き寄せた。

ドアがノックされ式開始五分前が知らされた。

「じゃあ怜、私達は席の方に行ってるから。仙さん、妹のエスコート宜しくお願いします。」

「はい、頑張ります。慎、波留子頼むよ。」

「分かってる。じゃあ姉さん、後でね。」

慎が波留子を支えるようにして三人が出て行くと仙が怜の手を取って立たせ自分と腕を組ませて言った。

「では花嫁、新郎の元へ参りましょうか。」

怜は思わずクスッと笑い、

「はい、宜しくお願いします。」

と仙に答えた。

ドアが開き仙にエスコートされた怜がしとやかにバージンロードを歩いている姿を見て波留子の目にはまた涙が溢れていた。仙から受け取ったハンカチでそっと涙を拭っている波留子をなだめるように肩をさする慎。牧師の前に着くと新婦の手を新郎にゆだね仙は素早く波留子の隣へ戻って来て涙を拭っている波留子の肩を抱き寄せた。

式は滞りなく終わり、参列者がチャペルの外へ一足先に出る際、松葉杖で歩く波留子を仙が抱き上げようとした。

「ちょっと仙、何するの、自分で歩けるから。今日は花嫁じゃなくて花嫁の母なんだから。」

「嫌だ。波留子皆んなに合わせようと必死に歩いてるから見てられないよ。花嫁の母だって俺の妻に変わりはないだろう。」

こういう時の仙に逆らっても無駄な事はもう充分承知している波留子だったが、さすがに今日の主役の前でこれは、と仙の耳元で、

「仙と腕を組んで歩きたいの。」

ささやいた。すると仙は嬉しそうに波留子と腕を組んで教会の外へと向かった。

「ダメだ、ありゃ。」

と快斗が呆れて溜息を吐けば、

「あゝ。クールな仙は何処へ行った。」

と悠介も溜息を洩らした。

「ハルコが苦労するよね。」

慎が苦笑しながら祖父と叔父に答えた。

「あら、いいじゃないですか。あんなに大切にして貰えて私なんか羨ましいくらい。本当に仙さんには母しか見えないんですね。あれ位私も愛されてみたいものだわ。ねえ静馬。」

「えゝ、俺に凛を抱き上げろって言うの。昔ならともかく、今はちょっと無理じゃない。」

「失礼ね、そんなことないわよ。」

「ほらいいから。新郎新婦が出てくるよ。」

静馬に促されライスと花びらを両手に握り扉が開くのを待った。

教会の鐘の音と共にチャペルの扉が開くと花嫁を抱いた新郎が出てきた。待っていた皆がおおっ、とどよめいた。

「優弥さん、姉さんの事抱き上げたんだ。」

慎がそう言って感心した直後、優弥が怜を下ろし二人で腕を組んで階段を降りて来た。皆んなからの祝福のライスシャワーの中歩き抜けると、

「ねえ、なんで抱いたまま降りてくれなかったの。」

怜が優弥に小声で尋ねた。

「階段の足元見えなくて危ないからね。階段でコケたら大怪我するだろ。怜を怪我させない為だよ。」

「ふうん、じゃあしょうがないか。でもそしたら昨日の仙さんって凄い事してたんだね。」

「あゝ、ドレスの裾が長いからそれ踏んじゃったらって思ったら怖くなったよ。仙さんはよくあんなにスマートに抱いて歩けたよな。カッコよかったもん。」

「何感心してるのよ。」

怜が優弥に突っ込みを入れた。

「二人とも、今誓い合ったばっかりでしょう。おめでとう。優弥君、こんな娘ですけどいつまでも仲良くして下さいね。口は悪いけど心はすごく優しい子だから。」

「はい、気が強いのも涙脆いのも、そして何より裏表のない真っ直ぐな心が俺は大好きですから。お義母さん似なんだって怜は言ってましたよ。」

「そうだね、ハルに似てる。」

「仙ったら。」

「さあ、皆んなで写真撮ろう。」

快斗の号令で殆ど前日と同じ顔触れが揃って写真に収まった。

ランチは教会に程近いレストランを凛と快斗が手配し、新郎新婦は馬車で、牧師夫妻を含め列席者達は徒歩でレストランに向かった。波留子と仙だけは車で先に向かう事になった。

二十名程で行われたランチパーティーも貸切で賑やかでなごやかなものだった。パーティーを終えると牧師夫妻に礼を述べ教会への寄附を手渡した。また二日続きで出席してくれたドクターや監督、そして監督のクルー達に日本から悠介が用意して来てくれた内祝品を持たせて見送った。客達が帰ると快斗が教会から移動させておいたバンと仙の車でホテルに戻った。

二日続けてウェディング衣装のカップルがロビーを横切って行くのを他の滞在客達が珍しげに見ていた。が、今日はカップルだけでなく、その一行とも言える多人数だった為か進路上にいた人達は皆自らが退いて通り道を開けてくれるのだった。エレベーター二台を占有するような形でフロアに同じタイミングで到着すると其々挨拶を交わして部屋へと引き上げて行った。

「あゝ、終わった。娘達は其々パートナーに無事バトンタッチ出来た。仙、今日は本当にお疲れ様、そして有難うございました。」

波留子がしみじみといった程でそう言うと、

「ハルも、お疲れ様。今日のハルも綺麗だったよ。これからは俺の事だけ見てて。」

仙が波留子を抱きしめキスしようとした時、

「ダメ、それは出来ない。」

波留子に拒否されてしまった仙。

「なんで。」

ショックでそれしか言えずにいる仙の目を見て波留子はニッコリ笑うと、

「だって、私達の大事な息子がいるでしょう。だから私は貴方と同じ位マコちゃんの事も見なくちゃ。言ったでしょ、子どもは何にも代えがたい存在なんだって。でもね、私が愛してる男はこの世で貴方一人よ、仙。」

そう言うと波留子が仙にキスをした。仙も波留子を抱きしめ何度もキスするのだった。

二日続きの結婚式に疲れ仙と波留子はいつの間にかベッドの上で微睡まどろんでいた時、ベッドサイドの電話が鳴った。

「ふぁあ、Hello.」

「あゝ仙、もしかして寝てた、ごめん。今晩遅めの夕食を皆んなで食べに行かない。爺ちゃん達や凛姉さん達明日もう帰らなきゃいけないんだって。怜姉さん達は明日西海岸の友達に会いに行くって言うしさ。」

「そうなの⁉︎ ちょっと疲れていつの間にか寝ちゃってたんだ。分かった、行くよ。何時?‥7時半にエレベーター前ね。うん、じゃあ後で。」

「マコちゃん?」

「うん、皆んな明日出発だから夕食一緒に食べようって。」

「そうか。ならシャワー浴びて着替えなきゃね。」

「うん。波留子、」

「うん?」

「愛してるよ。」

「仙、私も愛してる。私が皺々しわしわのお婆ちゃんになってもそう言ってくれたら嬉しいな。」

キスを交わしシャワーを浴びると仙が朝一緒に買ってくれた別のワンピースに着替えた。

「良いよ、凄く似合ってる。波留子が綺麗になるのは嬉しいけど、俺気が気じゃないよ。」

「バカ。私が綺麗だとしたらそれは貴方が私を愛してくれるからなんだよ。もっと自信持って、愛してるんだから。」

「波留子。」

仙は波留子に優しくキスをして抱き締めた。

「さあ、行きましょうアナタ。」

思わずドキッとときめいてしまった仙は照れ笑いしながら波留子と腕を組んで部屋を後にした。

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パートナー 〜18歳の年の差婚〜 松丸 慎 @SugarBabe

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