神の過ち

ナシを隠してもう人間時間で何百年も経っていた。俺は普通の人間として社会に生きてきた。

人間はやはり進化し続ける生き物で、その発展っぷりは驚くものだ。それを見届け続ける俺は、ある決断を下した。それは、ナシを人間に知らしめること。

だが、けしてすべてを晒すわけじゃない。このことはテストと呼ぶべきか。人間が真実に届けたときはどんな反応をして、どんな行動を取るのか、それが非常に興味深い。でももし世界に被害を加えることをしようとしたら、まだ挽回する余地として知られていない部分を使って人類を滅びる。

俺は計画を実行するため、地下遺跡を作った、人間に怪しまれないためだ。もし突然地上にこんなものが現れたら。衛星にバレてしまう。

この計画にすべてを晒すわけにはいかないので、ナシを微調整しなくてはいけない、人間がナシと接触した瞬間に伝達される情報を俺は間近でコントロールしなくてはいけない。スパイとして遺跡探察部隊に加わることこそが今回一番難しいことだ。


「それにしても、先輩、なんでこんなでかい遺跡以前は発見しませんでしたか?」

「そう聞かれてもね、突然村人からの情報がきてから知ったことだから、そんなことわかんねぇよ」

隊内でそんなことで盛り上がっていた。いまは遺跡付近で、もう地下に繋ぐ道は見つかって、探察部隊を仕込んできたところ。

「わー、暗いですね、それに通路は狭い、だれがこんなものを作ったのだろう」

はいすみません俺です、狭くてご苦労だった。

そして、部隊は遺跡の中央にたどりついた。

「本当にでかいですね、これが遺跡の中心部だろう。だが…壁一面はなんもない、それどころか、こんなに広いのに全くなんも見えない、からっぽですよ」

「無駄口を叩かないで、探察よ、周りに何かあるか注意深く探しなさい」

「だから…」

「早く」

「はい…」

探察隊員はバラバラにわけていた。遺跡に入る前に全身は万遍なく調べられるから、当日で遺跡に持ち込むことは不可能だった。もちろん彼らはすぐに見つけられないだろう、俺が探して彼らを呼ぶ筋書きだから、しっかり隠している。いまはただ待てばいい、タイミングを計って彼らに知らせる。

「先輩、こっちです、みんな~」

何を騒いでいるかみんなが呼ぶほうへいくと、隊員はちょうど俺がナシを隠しているいちにいた。まさか…

「先輩、ここを見てください。この壁の向こうに何かがありそうです」

そういって、新人は壁を軽く叩いて、トン、と響いている。

俺は焦った、確かに壁の向こうに仕込んだ、だがいま俺が一番ナシに近づいてないと、コントロールが難しくなる。

「か、勝手に壊すのはよくないだろう。こ、このことは上層部に連絡してからしたほうが…」

「そうね、勝手に壊したら責任問題になる」

「あー、せっかくここまで来たというのに、先輩。じゃあ仕掛けを探そうよ、もしかしたら壁を壊さず入れる方法があるとか」

そういって、新人は壁をところどころ触れては押す。

突然、彼の手が止まった。

「先輩、ここが変ですよ、なんか突起があるらしい、これを押して、と。わー」

まさかのことに、俺が作った仕掛けを簡単に見つけたとは、この新人無駄に勘がいいな。って…やばいことになった。

壁がドアのように開いて、隊員はみんな中へと入った。

ここは外より結構小さくなってて、ただ白く光るガラス玉のようなものが奥の壁の中にいた。

「これは…なんでしょう」

隊長はそれに近づいていく、ほかの隊員も不思議な目でそれを見ている。

「地上にあがろうよ、まずは上層部に報告してから降りてくるのはどうでしょうか、ねぇ、ねぇ」

仕方なく俺はこんなことを口走ってしまった。

「お前、なにそんなに焦っている。さっきから俺たちにここを離れようとしたでしょう」

「ち、違います。俺はただ…そう、上層部の意見が重要だと思います」

「そんなのわかってるよ、だが近づけて写真くらい撮らないと何を報告っていうの、さぁ、きて」

隊員がどんどん近づいていく。

策がないのか、いまはナシの力も使えないただ人間同然の俺は頭をフル回転しても何も思いつかない。

俺は走り出した、ナシに向かって、誰よりも早くナシに触れて、抱えてすぐ側近の壁を触れて新たな通路を開いた。

「ちょっ、お前」

隊長はすぐ追いかけてきて、隊員もそれに続く。

こんなざまで失敗したのか、俺は、まだなんも出来ていない、それどころか、自分の正体かナシかバレるのはすぐのこと、いまは瞬間移動なんてもできない、それはナシの力を示すも同然、俺の計画どうりだが、俺まで巻き込んでしまう。

本当何やってんだ俺、神でもなったつもりか、いや、そうだけどね。だが、その自惚れが、今回のミスを犯した。

俺は走り続た、この狭い通路で、ただただ。

途中で地面に狭間を見つけた、俺はそれを投げ込むつもりだった。だが、ナシの体積ではどうにも狭間に落ちず、後から追いかけてくる隊員だけが焦りを際立たせる。

くそ、深淵なんかに落とせたらなんていいことだろう。

仕方なく再び落ち上げて、俺はまだ走り続けた。ずっと、ずっと。

いったいどんなことが俺を待ち望んでいるだろうか。

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夢の話 サムサラ @Samsara

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