第4話
次の日、朝起きてもイライラは収まることはなく今まで感じたことのない感情に不安を覚えていた。
多分これは今までずっと柚の隣にいたのは自分で、柚が今まで男子の名前なんて意味もなく言わなかったから驚いているんだと思う。
柚は宝条の事は好きではなくてみんなが話題に出しているから言っているだけで好きではないんだと。
そう思いたかった。
「今日は柚に会いたくないなぁ…」
その日俺は柚を迎えにいくことはなかった。
学校にも行こうとはしなかった。
例え迎えに行かないで学校に行っても柚とは同じクラスで、橋本と日代だから席も近く会わないという選択肢を持たせてくれないからだ。
ずっとイライラしているし、昨日は柚に八つ当たりをしてしまった。
多分今日、学校に行けばまた柚に八つ当たりをしてしまう。
今度は声を荒らげるだけじゃきかなきかもしれない。
それが怖かった。自分ですら知らない自分に目を向けることがこんなにも怖いなんて知らなかった。
Reeeeeeeeeee
突然鳴ったスマホに神経質になっていた俺は異常なほど驚いていた。
「はい?」
『ねえ!!!!なんで起こしに来てくれなかったのよ!!!!!おかげで寝坊したわ!遅刻よ!ちーこーく!』
「……」
いつもと変わらない柚にホッとした。昨日の1件で自分に対する態度が変わってしまったらどうしようと電話に出る前に考えていた。
『涼?どうかしたの?』
柚はなにも言葉を発さなかった俺に不安そうな声を出す。
なぜかそれが嬉しく思えた。
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